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「並びに」と「及び」の使い方

October 12, 2013

 

契約書を作成する際の文章の作り方って慣れていないとホントに難しいですよね。

「並びに」と「及び」の使い分け。

なんとなくイメージで分けているのではなく、そうかといって厳格すぎるほど明確な基準というわけではないのです。

両方とも言葉を並列的につなぐもの。

「並びに」も「及び」も、それぞれ性質(グループというか、要素といいますか)がひとかたまりにまとめられるもの。

そして、「並びに」でくくるのは比較的大きな分類、「及び」は小さな分類になります。

文章の先に登場するのが「並びに」で、その後が「及び」ということも言えます。

 

実際の例をみたほうが分かりやすいので民法の条文を。

第970条(秘密証書遺言)
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

 

「公証人一人及び証人二人」→”公証人”と”証人”のヒトのグループ

「筆者の氏名及び住所」→”氏名”と”住所”の記載事項のグループ

「自己の遺言書である旨並びその筆者の氏名及び住所」→”遺言書である旨”と”その筆者の氏名住所”は性質が異なるので「並びに」でつなげている。

 

 

第843条(成年後見人の選任)
家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
3 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

 

「生活及び財産の状況」→”生活”と”財産”なので同じグループ

「心身の状態並びに生活及び財産の状況」→”心身”と”生活及び財産”は別グループ

「職業及び経歴」→”職業”も”経歴”も同じ。

「成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無」→”職業・経歴”と”利害関係の有無”は全く別の性質のこと。

 

感覚的につかめましたでしょうか。

 

最後に。

同じ性質のものをいくつか並列させる場合には、”最後に「及び」”です。

すべて人の名前であるとすると以下のような振り合いになります。

「A、B、C及びDは、○○をすべき義務を負う」

 

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