資金調達と外国人雇用に強い行政書士阿部総合事務所

認定経営革新等支援機関(中小企業庁)

遺言書の内容を撤回したい!。前の遺言書を破棄すると書くべきか?|行政書士阿部総合事務所

July 24, 2015
3009 views
約 8 分

 

夏休みに入ると、子供連れの家族などが街にあふれてきてなんだか嬉しい。

楽しすぎて、ワクワク感が外に出まくっている子どもたちを見るだけで、こっちも嬉しく楽しくなります。

楽しそうな人のまわりにいるだけ。

それだけで楽しくなる。

 

おはようございます。

週末相続トレーナー、行政書士阿部隆昭です。

 

前置きとはまったく違う話になるのですが、とても参考にあるお話しを懇意にしている公証人の先生からお伺いしたのでシェアします。

これから遺言書をつくる方

既に遺言書を書いている方

誰かに遺言書を作って欲しいと思っている方

書いた遺言書の存在を秘密にしている方

 

可能性の一つととして頭にいれておくと良いと思います。

 

大前提として、まず。

遺言書の内容は撤回することができます。

(遺言の撤回)
民法第1022条

 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

 

前の遺言の内容をまるごとひっくり返してもいいし、その一部だけ撤回して別の内容とすることができるのです。

この条文では、もう一つ大切なことを規定していて、それが「遺言の方式に従って」という部分。

遺言は要式行為なので、法律に定められた方式を守ってこそ効力が生まれるようにしているのが日本のルールです。

話がそれるので詳しい説明はここではしません。

が、遺言を作るときも、撤回するときも、法律の定めたルールに従いなさい、と民法は言っているのです。

 

ここまでで皆さんに知ってほしいことは、これです。

遺言書を作るときも撤回するときも法律のルールに従わないといけない

 

 

さて、遺言書の内容は撤回することができます。

できるのですが、「撤回する!」とはっきり主張しなくても、撤回したものとみなしてくれる制度も規定されているのです。

それが、民法1023条

 

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
民法第1023条

前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

 

正確を期すために条文を引用していますが、細かいので読まなくても大丈夫ですヽ(^o^)丿

 

平成27年7月24日 父Aさんが遺言書を作ります。

内容は、「X不動産を次男Bに相続させる。」

 

平成27年7月25日 気が変わったAさんは翌日別の遺言書を作ります

内容は、「X不動産を長男Cに相続させる。」

 

7月24日にBに相続させると言ったのに、翌日にはCに相続させると言っています。

別の不動産だったらいいんですよ。

この場合は、同じX不動産。

 

この部分が見事に、抵触しています。

難しい言葉でいうと、同じモノの権利の帰属をめぐって対立する関係になっているのです。

 

「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分」は撤回したとみなされます。

なので、X不動産を相続できるのはB、ではなくCです。

 

民法という法律のチカラで撤回したとみなしてくれるので、後の遺言(7月25日に作った遺言書)で前の遺言(前の日に作ったもの)の内容を撤回すると明らかにしなくていいのです。

 

つまり。

7月24日に作った遺言の内容のうち、「X不動産をBに相続させる」との内容を破棄して、「X不動産をCに相続させる」と改める。

と、そんなことは書かなくていい。

 

前の遺言書の内容に一切触れる必要がないんですね。

Cに相続させたいと思ったら、Cに相続させるとだけ書けばいい。

Bに相続させる内容の遺言書を書いたけど、やっぱりCに相続させる、などといった遺言書がもし残されていたとしたら。

 

Bが遺言書を見たときにどうなります?

Bはイヤ~な感じになりますよね。一旦は財産くれると言っときながら、「翌日にはやっぱり兄貴にあげるわ」、って言われてるとしたら。

 

知らなかったら知らないで済みますよね。

もし、そんな裏事情が書かれていなければ。

X不動産はCが相続するのか。

オヤジとしてそう思ったんだったらそれで良し

と丸く収まるケースなのに、余計な波風が立つキッカケになるかもしれません。

 

ここまでをまとめると、

前に書いた遺言と抵触する部分は、撤回すると書かなくても撤回したと法律がみなしてくれる。

 

 

長いですね。

結論までもう少し。

 

条文のチカラで撤回したとみなしてくれる。

だから、「Bに相続させると書いたけど、やっぱりCに相続させるわ」とハッキリ書かなくて良いよ。

なぜなら、条文のチカラで撤回したとみなしてくれるから。

 

しつこく、条文のチカラって書きますけど、これってものすごく大切なことなんです。

法律の条文です。

国民みんなに効力が及ぶとても強いチカラをもっています。

けれども、もし。

BとCが仲良しで事情も全部知っている。

相続人の間で争うことがまったく考えられない

そういった場合には、

「平成27年7月24日に書いた遺言の内容をすべて破棄し」

とハッキリ書いて、7月25日の遺言書を作るほうが良い場合もある。

 

 

結論

前の遺言書の内容を撤回する場合。

前の遺言書の内容を破棄すると書くか、

撤回みなしの条文のチカラを利用するかはケースバイケース

 

 

ちょっと難しかったですかね。

でも、最後までお読みいただきありがとうございます。

 

自分一人で書ける遺言書、といった書籍も販売されていて、遺言書を作るハードルはすごく低くなったのはとても良いこと。

でも、遺言書って難しいんですよ、ホントは。

自分が亡くなった後に唯一残る自分の意思。

本人が死んでしまっているので、書面だけが一人歩きできるように完璧な内容にしなければならないんです。

なぜか。

死後の世界から

「いや、この内容は本当はこうして欲しかったんだよ」

なんていう指示がいっさいできないから。

 

だから、自分がこうして欲しいと思っている内容を間違いなく実現できる遺言書を作ってこそ、安心して黄泉の世界にいけるわけです。

 

最後に宣伝を。

お医者さんと同じように、専門職でも遺言書が得意不得意があります。

私、行政書士阿部隆昭は遺言書、得意です。

安心して黄泉の世界にいける遺言書を作るお手伝いをさせてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

About The Author

行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。