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yahoo知恵袋『相続放棄する場合「負債を知った三か月以内」に行うこととなっておりますが』|行政書士阿部総合事務所

December 4, 2014
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約 9 分
 
こんにちは。
 
yahoo知恵袋ってご覧になりますか?
私は、ほとんど見ません。
 
たまたま検索に引っ掛かったので読んでみました。
 
 
 
相続について相続は財産も負の財産も相続するとのことですが、相続放棄... - Yahoo!知恵袋相続について相続は財産も負の財産も相続するとのことですが、相続放棄… – Yahoo!知恵袋
 
 
 
相続について相続は財産も負の財産も相続するとのことですが、相続放棄する場合「負債を知った三か月以内」に行うこととなっておりますがいかがでしょうか。
相続は生前ではできないということですが生前から負債があることを知っていて三か月経過している場合はもう相続は放棄することができないのでしょうか。限定承認もその通りなのでしょうか。また、相続放棄は個人でできるものでしょうか。弁護士でなければできないのでしょうか。
 
 

相続放棄する場合「負債を知った三か月以内」に行うこととなっておりますが

 
このあたり、誤解されている方がとっても多いですね。
 
相続放棄の申術の期間は三ヶ月。
 
では、スタート時点は何を基準にするかといいますと、民法の条文に根拠があります。
 
 
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったこと知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
 
 
負債を知ったときから三ヶ月ではなく、死亡の事実を知った日からです。
                  
こう言われると一見正解みたいですが、実はそうではありません。
 
 
条文って一言一句細かく読まないと意味が違ってきてしまうので注意が必要なんです。
 
 
何を知ってから三ヶ月以内に相続放棄をしろと条文は言っているのか?
 
三ヶ月の起算点は、「自己のために相続の開始があったこと」を知った、その時です。
 
 
 
では、「相続の開始」っていつなのでしょう?
 
条文に答えがあります。
 
 
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
 
相続の開始は死んだとき。
 
これが正解です。
 
 
 
 
では、「自己のために相続の開始があったこと」、これは一体何なんでしょう?
 
単に、相続の開始があったことを知ったとき、と規定されていれば、相続放棄の申術期間のスタートは被相続人が死んだことを知った時です。
 
 
ただ、これに「自己のために」という文言がある関係でコトはちょっとだけ複雑化してきます。
 
 
 
 
例えば、しばらく疎遠にしていた伯父さんの入院先に、私がお見舞いに行ったとしましょう。
 
たまたま、そのときに容態が悪化して伯父さんは死んでしまった。
 
伯父さんが死んだとしても、私、甥っ子なので伯父さんの相続とは何の関係もありません、普通は。
 
 
 
でもですよ。
 
疎遠にしていた間に伯父さんは離婚し、子どもは亡くなってしまっていた。
 
そうなると、今度は伯父さんの兄弟に相続分が承継します。
 
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
 
 
伯父さんの兄弟である私の父は数年前に他界しているとします。
 
相続分は私が承継します、民法上は。
 
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
 
 

甥っ子である私が相続人になるパターンです。

 
伯父さんの今の家族関係は、お見舞い先での私は知りません。
伯父さんの家族がいないとしても、まわり回って私が相続人になることもその時は知りません。
 
 
 
 
相続の開始を知ったのは・・・お見舞いに行った日
 
自己のために相続の開始があったことを知ったのは・・・伯父さんの家族関係などを聞いて、法律上私が相続人になってしまっていることが確認できた日
 
 
日にちがずれてしまうんですよ。
 
 
日にちがずれたときに、どっちに寄せるかというと、どうしますか?
 
死んだことを知った日にしてしまうと、早く三ヶ月の期間が到来してしまいます。
 
伯父さんの家族関係を知って、専門家にアドバイスを貰った結果、「まさかオレが相続人!」って知ったその日が命日から四ヶ月後だった。。。
 
もう、相続放棄できず、伯父さんの借金を丸ごと相続しなければならない。
 
 
といった不利益が起きることがないように、相続放棄をするその人本人が自分に影響があることを知った日にしているんです。
 
子どもの親が死んだとしたら、まあ、子どもとしては自分が相続するって分かりますよね。
なので特段の事情がなければ、死んだ日から三ヶ月。
子どもだから、死んだその日に知ることになるでしょうし。
 
 
 
三ヶ月の間にどうするか考えなさいと民法は言っています。
オヤジの借金を背負っても頑張るのか?、相続人の地位を丸ごと捨てるのか?
 
さっきの私の場合ですと、死んだことを知った日から三ヶ月にしてしまうと、伯父さんの相続について考える期間がゼロ。
 

相続放棄する余地が全くなしというと、たまたま起きた伯父さんの死亡という偶然の事情によって、私の生活が破綻間違いなしという恐ろしい結果になってしまうのです。

 
 
そういった不都合や不公平がないように、三ヶ月のスタート期間を設定しているのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

About The Author

行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。