
「うちの業種でも使えますか?」
新事業進出補助金の問い合わせで最も多い質問のひとつです。行政書士阿部総合事務所では、第2回公募の採択者一覧(832件)を業種別に分析しました。この記事では、その結果から見えてくる「通りやすい業種と事業パターン」をお伝えします。
採択者一覧の出典:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/results
採択件数が最も多い業種:製造業
製造業の採択件数は全体の約17%を占め、最多です。ただし「製造業」として一括りにできない多様なパターンがあります。
最多パターン:既存の加工技術を成長産業に転用(49件)
板金・溶接・旋盤・精密加工などの既存技術を持つ企業が、これまで取引のなかった業界の部品製造に参入するパターンです。
具体的には次のような事業が採択されています。
- 「精密加工技術を活用した半導体製造装置向け部品の量産体制構築」
- 「溶接技術を応用した防衛装備品部品の製造事業への参入」
- 「板金加工技術を活かしたデータセンター向け冷却装置部品の製造」
- 「航空機産業向け高精度部品の加工体制構築による新市場参入」
いずれも共通しているのは「既存技術はそのまま、顧客と市場が新しい」という構造です。新しい機械を買うだけでは採択されません。「誰に・何を・なぜ売れるか」が説明できている計画書が採択されています。
食品加工・新商品への参入(17件)
製造業のノウハウを活かして食品製造・ブランド商品開発に参入するパターンです。金属加工会社が食品加工機械の製造に転用する、あるいは地域の一次産品を使った加工品製造に参入するケースが確認されています。
環境・リサイクル関連(10件)
廃プラスチック・廃材・太陽光パネルの再資源化事業など、環境対応を軸にした新事業参入が採択されています。
建設業からの採択が際立つパターン
建設業からの採択で最も目立つのは「宿泊施設・サウナ・体験型複合施設への新規参入」です。
施工技術と遊休地・空き建物を活かして観光・体験産業に進出するパターンが多数採択されています。具体例として採択者一覧に記載されているものを挙げます。
- 「古民家を活用した高付加価値宿泊施設への参入」
- 「施工技術を活かした貸切サウナ事業への新規参入」
- 「保有地を活用したグランピング・アウトドア体験施設の開業」
建設業がこのパターンで採択されやすい理由は「既存の施工技術・人材・保有地」という資産が明確な強みとして説明できるからです。ゼロから宿泊施設を始めるのではなく、自社の強みが新市場で活きる構造になっています。
飲食・宿泊業からの採択パターン
飲食・宿泊業では「食品加工・製造小売・EC事業への転換」が採択されています。
- 「飲食店の調理ノウハウと食材調達ルートを活かした冷凍食品OEM事業」
- 「旅館の食材・調理技術を活かした地域食材加工品のEC販売」
- 「地元食材を使った加工品製造・全国販売事業」
店舗型ビジネスの限界を、製造小売型への転換で突破しようとする事業が評価されています。
採択されやすい事業の共通点
832件を分析して見えてくる共通点は一つです。
「既存事業で培ったノウハウ・技術・顧客基盤を活かして、これまで取引のなかった新しい市場に進出する」という構造が明確な事業が採択されています。
ゼロから全く新しいことをするのではなく、「今持っているものを新しい場所で活かす」という発想です。審査員は「なぜこの会社がこの新事業をやれるのか」を事業計画書から読み取ります。自社の強みと新市場の接続が説明できていない計画書は落ちます。
御社の業種で採択できるかどうか
上記のパターンに当てはまる業種・事業内容であっても、採択できるかどうかは事業の具体的な内容を聞かなければ判断できません。
行政書士阿部総合事務所では、初回相談で「この事業内容で新事業進出要件を満たせるか」を判断します。「要件を満たしている」と判断できれば申請支援に入ります。「このままでは難しい」と判断した場合は、その理由と改善の方向性をお伝えします。
現在、第4回公募が進行中です。締切は2026年6月19日(金)18時です。
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