遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができません。
これは「共同遺言の禁止」といって、民法で、そう定められています。
そもそも、遺言は、単独行為といって本人の意思のみによってなされる行為です。
同一の証書、つまり一通の遺言書の中に二人以上の意思が表れていることは、いたずらに法律関係を錯綜させる原因になるんですね。
「共同遺言の禁止」については最高裁の判例が残されています。
(最判昭56・9・11)
同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、その一方に氏名を自書しない方式の違背があっても、共同遺言として禁止される。
これは、一方の氏名だけが自書され、他方について自書がなかった場合においても共同遺言として禁止されたもの
(最判平5・10・19) 一通の証書に二人の遺言が記載されている場合であっても、両者が容易に切り離すことができるときは、本条によって禁止された共同遺言にあたらない。
形式上、共同遺言に該当する場合であても、容易に切り離すことができて単独の遺言書として認められるほどの独立性があれば共同遺言には当たらないとするもの。
上記のように判例上、認められたケースもありますが、あくまで民法の条文上は禁止されているのが原則です。
したがって、ご夫婦で遺言書を遺される場合でも、必ずお一人づつなされることが必要です。
(参考)
民法第975条(共同遺言の禁止)
遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
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