http://www.cocacola.co.jp/sustainability
ソーシャルメディアポリシー策定コンサルタントの行政書士阿部隆昭です。
ソーシャルメディアポリシーやソーシャルメディアガイドラインとして最もよく出来ているとされているコカ・コーラ社
コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシーを参考にしよう!と仰る方々もおりますが、私はそうは思いません。
コカ・コーラ社のようなグローバルカンパニーだからこその規定も多く、中小事業者がソーシャルメディアポリシーを策定するのに参考にすべきではないと考えています。
コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシーは中小事業者が参考にするには詳しすぎる
コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシー(ソーシャルメディアガイドライン)は、二部構成になっています。
その1がhttp://www.cocacola.co.jp/company-information/social-media-guidelines
その2としてその1の詳細がこちらhttp://www.cocacola.co.jp/company-information/social-media-guidelines2
「その1」の「コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針」で最も主張したい部分は、コカ・コーラ社の従業者が社内規程等の法令遵守をしていることと、公式アカウント以外での従業者のソーシャルメディア上の発言は公式見解ではないという二点になります。
コカ・コーラシステムでは、昨今のソーシャルメディアの普及にともない、従業員ならびにコカ・コーラビジネスに携わる全ての関係者(以下:従業者)がソーシャルメディアを積極的に活用することを、推奨いたします。その中で、本指針は、従業者を対象に、ソーシャルメディアを活用するにあたっての ガイドラインとして作成されたものです。従業者は、本指針を理解し遵守することを求められており、コカ・コーラシステムの各社及びコカ・コーラシステムの業務に従事する協力会社の各社は、所属する自社の社員が本行動指針を遵守することについて、責任を負います。また、本指針に記載されている「日本コカ・コーラ公認アカウント」以外でのソーシャルメディア内での従業者による発言は、必ずしも当社の見解を表明しているものではありませんので、予めご了承ください。
「その1」を受けた「その2」ではソーシャルメディアポリシー(ソーシャルメディアガイドライン)の詳細が6183文字に渡って書かれています。
「その2」で最も特徴的なのはソーシャルメディアポリシー導入の背景について長文で言及しているところ。
つまり、グローバルに広がったコカ・コーラ社の企業活動はインターネットを通して様々な場所、人の間で話題になることが多い。その中で、コカ・コーラ社のビジネスに関わる者は、コカ・コーラブランドの価値や魅力を正しく伝えるアンバサダーとしての役割を持っていることを再認識し、ソーシャルメディアを通して積極的にコカ・コーラブランドを広めていくための指針として定めた。
これがコカ・コーラ社がソーシャルメディアポリシーを導入した背景なのです。ソーシャルメディアの活用の広がりに合わせて、アンバサダーたるコカ・コーラ社の従業者に対してソーシャルメディア上の行動指針を定めたということです。グローバルカンパニーとしての責任の大きさもありますよね。
コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシーは中小事業者には参考にならないと冒頭で書きましたが、この「導入の背景」については中小事業者に関わらずソーシャルメディアを活用する全ての企業に当てはまります。
さて、コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシーの「その2」の章立てを見てみましょう。
■ 個人の立場で、ソーシャルメディアを利用する場合の基本指針
■ コカ・コーラシステムを代表する立場で、各ブランドや企業についてソーシャルメディアを通じて語る場合の基本指針
1:【本行動指針の基本理念】2:【ソーシャルメディアに関するコカ・コーラからのコミットメント】
■ ソーシャルメディア活動においてコカ・コーラが掲げる5つの基本的価値観
1. 透明性の担保
2. 消費者のプライバシーの保護
3. 第三者の権利の尊重
4. 技術利用に対する責任
5. 傾聴と事例の活用3:【社員及び協力会社によるソーシャルメディアの利用について】
■ コカ・コーラシステムの全社員及び協力会社社員がソーシャルメディアを利用する際に求められること
1. 事業運営規範など、該当する方針等の厳守
2. ブランド価値を守る”番人”としての役割を担う
3. 否定的な投稿に対する対応は、専門家に任せて、自分の判断では行わない
4. 仕事に纏わる記載をする場合は、特に配慮をする4:【コカ・コーラシステム認定 ソーシャルメディア担当者に対して求めること】
1. 所定のトレーニングプログラムを受講して、認定を受ける
2. コカ・コーラを代表する立場であることを明らかにする
3. 記録を取る
4. 迷った場合は投稿しない、を基本スタンスとする
5. 他者の権利を侵害しない
6. ローカルでの投稿が、世界的影響を及ぼし得ることを忘れない
7. インターネットの恒久性を認識する。
一般的な企業ではソーシャルメディアガイドラインに定め社外には公開しない細かいことまでソーシャルメディアポリシーとして公開しているのもコカ・コーラ社の特長ですね。
コカ・コーラシステム認定ソーシャルメディア担当者向けの「4」も中小事業者がソーシャルメディアガイドラインとして定める場合にはとても参考になります。
まとめ
・中小事業者がソーシャルメディアポリシーを定める場合には、コカ・コーラ社よりも端的にまとめたほうがいい。
・中小事業者がソーシャルメディアポリシーを定める場合には、コカ・コーラ社のようにソーシャルメディアガイドラインと一緒の役割を持たせるのではなく、ポリシーとガイドラインの役割を分離させたほうがいい。
実は、コカ・コーラ社のソーシャルメディアポリシーには他の企業のソーシャルメディアポリシーやソーシャルメディアガイドラインに比べて特徴的な点が一つあります。よく読み込まないとなかなか気が付きにくいのですが、これもまた皆さんに知って頂きたいので別の機会に書きたいと思います。
ソーシャルメディアポリシー策定コンサルタント 行政書士阿部隆昭
行政書士が教える!ソーシャルメディアポリシーの正しい定め方