日経トップリーダー2016年2月号を読み返していましたら面白い記事がありました。
龍角散がクララから撤退したときのこと。
私の実家は、「龍角散」も「クララ」もどちらも愛用していました。
細粒タイプの薬を小さなスプーンですくうのが楽しくて子供の頃によく龍角散で遊びました。
ただ、粉がとても細かいのでちょっとした息づかいでも飛んでしまうので扱いづらい。
誰もがこの悩みを持っていたようでして。
そこで龍角散に取って代わられたのが「クララ」
キャップを開けてそのまま水なしで流し込めるので龍角散のように気を遣わなくていい。
仕事の合間でもサクッと飲めるのが便利。
私もクララは何度か飲んだことがあります。
そのクララブランドが、「龍角散ダイレクトスティック」になったのですね、いつの間にか。
「社員たちが思うほど「クララ」ブランドは浸透していないことを知っていた」龍角散の藤井隆太社長は、クララ撤退大反対の社員達に対してあえて、クララをのどをきれいにする薬として売り出すキャンペーンを展開したといいます。
社長自ら販売店を回るなどして一時的に売上が伸びたのですが、長続きしない。
クララブランドの低下を社員に認識させるためにあえてキャンペーンを展開した社長の決断
大反対の社員はクララ撤退を納得し、龍角散ダイレクトスティックは最盛期のクララの2倍以上の売上に伸びているとのこと。
大反対の社員たちは、キャンペーン効果が薄いことをもってクララのブランド力低下を知りました。
しかし、藤井隆太社長は、なぜ「社員たちが思うほど「クララ」ブランドは浸透していないことを知っていた」のでしょうか?
「藤井社長は龍角散が手掛ける製品の消費者への浸透度を調べるためにグループインタビューに参加し、今は社員たちが思うほど「クララ」ブランドは浸透していないことを知っていた。
しっかりと消費者の意見を事前にヒアリングしていたのですね。
この記事では二点の学びがあると思いました。
一つ目はブランドに固執せずに、売上の源泉である消費者の意見を優先したこと。
そして、社員たちを納得させるためにあえて「実験」というプロセスを経たこと。
いくらブランドとしての息が長くても売れなければ意味がありません。
売れるということは、言い換えれば、それが社会から求められているからこそ売れる訳です。
ブランドを捨てることに大反対の社員を静めるためには、社長の一喝という方法を執ることもママありますが、それでは反対の火は消えることがありません。
しかし、今回の場合には、実証して結果が出なかったのですから、誰しも納得でしょう。
実証キャンペーンは確かに費用がかかります。
ですが、それ以上のモノを得るためには仕方なかったということですね。
「リーダー」という言葉が軽がろしく使われる時代になってきました。
本当のリーダーから学ぶことは多いですね。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭