例えば、履歴事項全部証明書のホチキスを外してコピーやスキャンをするとき、どうしていますか?
リムーバーやホチキスの後ろを使って、グイッとホチキスの針を抜いている方も多いと思います。
その方法、実は知らないうちにお客さまの信頼を失っているかもしれません。
さて、リムーバーです。
私がこの業界に入った頃に購入したPlusのリムーバーなので傷だらけです。
試しに10枚程度のコピー用紙をホチキス止めしたものを用意しました。
先ずは多くの皆さんが行っているホチキスの針の外し方をやってみます。
リムーバーの先をホチキスの針の隙間をこじ開けてグイグイ差し込みます。
左右にひねりを加える動作をしながら持ち上げます。
やっとホチキスの針が抜けました!
紙の状態はどうでしょうか?
リムーバーを紙に押し付けた跡が残っているのと、針を抜いた跡もグイグイひねったおかげで大きく広がっています。
これが普通にリムーバーを使ったときの紙の状態です。
さて次に、全く別の方法、いつも私が行っているやり方を見て下さい。
先ずは、ホチキス止めした用紙をひっくり返します。そして、リムーバーの先を使って、ホチキスの針を引き起こします
反対側も同じように。
ホチキスの針を90度引き起こしました。
なぜこのようなことをするかといいますと、ホチキスの針を抜く際に紙にダメージを与えないためです。
さて、裏面にしてホチキスの針を引き起こし終わったところで表面に戻します。
最初の方法とは違ってリムーバーをグイグイとねじ込む必要は全くありません。裏面の針は、ホチキス止めした時に入ってきたのと同じようにストレートに引き起こされていますので、何のストレスもなく抜けるはずです。
抜いた後の用紙もとても綺麗です。リムーバーを押し付けた跡すら残っていません。
リムーバーをグイグイ強引に使う方法(画像、上)と、紙にダメージを与えない方法(画像、下)とで針を抜いた後の紙の状態を比べてみます。
どうでしょうか?
これだけ違うのです。
更に違いを分かり易くするために、ホチキス止めする用紙を2枚と薄くしてみます。
履歴事項全部証明書や契約書、覚書、企画書など、A4サイズ2枚をホチキス止めしてクライアントに提出するときを想定してくださいね。
グイグイやってしまったせいで紙がめくれてしまった!!
という経験ありませんか?
用紙が薄すぎてホチキスを抜こうとする力に対抗出来なくなってしまったからです。
抜けたのはいいけれど、大きな穴が空いてしまいました。。。
これだけ大きな穴が空いてしまうと、もう同じ場所にはホチキスは打てません。
ですので、元のホチキスの位置からずらして止めることになります。
一手間かけて、裏の針を起こして外すだけで、再度ホチキス止めをしたときでも美しい仕上がりになります。
用紙が10枚だろうと、2枚だろうと関係ありません。
さて、ホチキスの針を抜くぐらいで何を細かいことを言っているんだと思う方もいらっしゃるでしょう。
特に専門職のような役務供給型のサービス業の場合には、成果物として顧客にお渡しできるものがそれほど多くありません。
契約書作成の業務にしても、契約書だけ。
会社設立業務にしても、成果物をいえるものは履歴事項全部証明書(会社の謄本)ぐらいなものです。
そして、私たちの業務では一旦完成した成果物のホチキスを外す場面は少なくありません。
お客さまに納品する前に事務所保管用として書類をスキャンする場合。
あるいは、会社の謄本だけは先に欲しいのでFAXで送ってほしい、といった場合。
スキャンやFAXのために外したホチキスの後がキレイだとどうなるのでしょうか?
正解は何も起こりません。
それがお客さまにとっては普通の状態だからです。
しかし、画像でお見せしたように、ホチキスの穴が空いていて、乱雑に止め直した跡が見える場合は何かが起こります。
お客さまの気持ちの中でモヤモヤしたものが。
恐らく、コレ、何なの?
とは言いません。
といいますか、言われることはありませんでした。
ただ、その乱雑に処理した場所に視線は向かっていました、明らかに。
これは私が以前在籍していた職場で実際に経験したことです。
履歴事項全部証明書の場合には、お客さまは成果物に1通600円の実費を支払ったうえで手にしています。
専門職側の事情で資料を取りたいからといって、その成果物をボロボロにしていいわけはありません。
実は、このようなほんの小さなことから信頼を失っていくのだと思います。
たかがホチキスの外し方なんて構いやしない。
そう思われた方は今までどおり、グイグイと力任せに抜いてしまいましょう。
もしも、せっかく頂いたお客さまとのご縁を大切にしたいのであれば、針を先に引き起こす方法を参考になさってくださいね。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭