日本の大学や専修学校を卒業した留学生の方のほとんどの方が日本で就職を希望しています。
しかし、日本人ほど楽に日本企業に就職するわけではありません。
日本企業の慣習が求められるようなスキルも必要になるでしょう。
様々な事情があってあっという間に就職活動のビザ(特定活動)の期限が来てしまいます。
留学生の卒業後の就職活動のビザの期限は現状180日間、つまり6か月です。
一回だけ延長が認められているので、最初の6か月プラス延長の6か月とで約一年間ですね。
大学等を卒業した留学生が行う就職活動の取扱いについて
1 従来の取扱い
留学生が大学等を卒業後に継続して就職活動を行う場合には,最長180日間の滞在を認めていました。
2 出入国管理政策懇談会の提言
本年1月に,出入国管理政策懇談会において,「留学生及び就学生の受入れに関する提言」がとりまとめられ,法務大臣に報告されました。
この提言において,「卒業後の就職活動期間に関しては,現行の180日の滞在期間について一定の成果が認められることから,教育機関が卒業後も継続して就職支援を行うことを前提に,卒業後の就職活動期間を1年程度に延長すべきである」こととされました。
3 今後の取扱い
上記2の提言を踏まえ,本年4月1日から,大学を卒業し又は専修学校専門課程において専門士の称号を取得して同教育機関を卒業した留学生等については,申請人の在留状況に問題がなく,就職活動を継続するに当たって卒業した教育機関の推薦があるなどの場合に,
在留資格「特定活動」
在留期間「6月」
への変更を認めることとし,更に1回の在留期間の更新を認めることで,就職活動のために1年間本邦に滞在することが可能となりました。
つまり、卒業後の一年間で就職先を見つけてください、ということなのですが、それが結構難しいのです。
せっかく日本企業で就職しようと思って勉強したのに、就職ビザの期間が終わるまでに採用されないと本国に帰らなければなりません。
それがです。
就活留学生の在留延長=最長2年、就職を後押し-政府
政府は31日、日本の大学を卒業した外国人留学生の在留期間について、これまでの1年から最長2年に延長する方針を固めた。日本での就職に失敗した留学生が日本にとどまり、就職活動を続けやすくする。近く法務省が必要な手続きを行う見通しだ。
現行制度では卒業後、1年間に限り就職活動のための在留が認められている。政府は、留学生の就職を後押しするため、自治体が行う就職支援事業に参加していることを条件に、在留期間を1年間延長することを認める。(2016/08/31-17:18)
就職活動として二年間という期間設定の是非はともかく、気持ちの余裕を持って就職活動を行うことが出来ますね。
外国人留学生の方に注意して欲しいのは、期間が長ければ長いほど「良い就職」が出来るとは限らないということです。
以前、ハローワークの担当官と話したことがあります。
就職が決まる人、決まらない人というのは実はハッキリしているそうで。
最初の三ヶ月間で就職を決めよう!と思っている人は就職が最速で決まる
転職の場面でも新卒の場面でも同じですね。
何事も「適時」ということがありますので、のんびりしていても大丈夫という気持ちは、そのまま採用予定企業に面接官に現れてしまうので本当に注意してください。
一年間延長して二年間になっても、結局就職が決まらず本国に逆戻りになったら本当にもったいないですから。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭
2017/04/19追記
入国管理局から資料が公表されています。
大学等を卒業後就職活動のための滞在をご希望のみなさまへ
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan84.html
2 卒業後2年目の就職活動について
大学等を卒業後,上記1により就職活動を行うための在留資格への変更を認められ就職活動を行っている留学生等が,地方公共団体が実施する就職支援事業(当局の設定する要件に適合するものに限ります。)の対象となり,地方公共団体から当該事業の対象者であることの証明書の発行を受け,大学等を卒業後2年目に当該事業に参加してインターンシップへの参加を含む就職活動を行うことを希望される場合で,その方の在留状況に問題がないなどの場合は,当該事業に参加して行う就職活動のための在留資格(特定活動,在留期間は6月)への変更が認められ,更に1回の在留期間の更新が認められるため,当該事業に参加して行う就職活動のため,更に1年間(卒業後2年目)本邦に滞在することが可能です。
手続及び必要書類については,「地方公共団体が実施する既卒留学生を対象とした就職支援事業の手引」【PDF】(手引の添付物はPDFファイルの添付ファイル【Word形式】として添付されています。)をご覧ください。この取扱いの対象となる就職支援事業を行おうとする地方公共団体の方へ
取扱いの詳細については,「地方公共団体が実施する既卒留学生を対象とした就職支援事業の手引」【PDF】(手引の添付物はPDFファイルの添付ファイル【Word形式】として添付されています。)をご覧ください。
上記の法務省公開資料に書かれている要件を確認すると、
1.地方公共団体が実施する就職支援事業(当局の設定する要件に適合するものに限ります。)の対象となっていること。
2.地方公共団体から当該事業の対象者であることの証明書の発行を受けられること。
3.大学等を卒業後2年目に当該事業に参加してインターンシップへの参加を含む就職活動を行うことを希望される場合
4.その他、在留状況に問題がない
以上のように、特定活動(就職活動)ビザが認められるためにはとても厳しい条件をクリアする必要があります。
要件1にある「地方公共団体が実施する就職支援事業」というのも事実上どの程度まで具体化しているのかが分かりません。
ある公共機関にヒアリングしてはみましたがハッキリとした回答は得られませんでした。
実際問題として、外国人留学生の方がこの制度について調べ上げるのは現時点では難しい状況のようです。
ただ、制度としての枠組みは出来上がっているので丹念に適用の条件を調べるほかはなさそうです。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭