入管法第19条第1項では、外国人の在留資格によって活動の範囲が法定されています。
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動
上記の在留資格を持って在留する外国人は、当該在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が出来ません。
例えば、技能ビザ、日本でシェフとして活動することだけが許されているビザでは、原則、シェフ以外の活動で収入を得てはいけません。
逆に、人文知識・国際業務ビザで営業職に就いている外国人は、いくらお料理が得意だからといって、原則、シェフとしてアルバイトをしてはいけません。
また、
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
上記の在留資格を持って在留する外国人は、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が出来ません。
入管法第19条第1項に違反した者は、2つのペナルティー(刑罰、退去強制)を受ける可能性があります。
1.定められた在留資格で認められた活動以外で報酬を得た場合には、懲役刑まである!
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
四 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者
在留資格で決められた活動以外で報酬得る活動をした場合には刑罰を受ける可能性があるということです。
人文知識・国際業務ビザで事務職に就いている外国人が、小遣い稼ぎのつもりでアルバイトをした場合がまさにコレです。
ちょっとぐらいいいじゃないか?
と思われるかもしれませんが、この行為も入管法に違反する可能性があるのです。
そもそもなぜアルバイトをしてはいけないのでしょうか?
疑問ですよね。
日本人だって、ダブルワークといったように会社が終わったあとにアルバイトをしている方はたくさんおります。
しかし、外国人の場合には、そもそも、その在留資格にかなった活動をするからという理由で在留を認められているのです。
さらに、日本で就労ビザの取得が認められるには、「日本人と同等以上の報酬を受ける」ことが要件の一つにもなっています。
つまり、ビザ取得の段階から、”アルバイトをしなくても日本で生活が出来るぐらいの報酬をもらえる会社に就職出来るなら在留を認めるよ”と言っているわけですね。
2.定められた在留資格で認められた活動以外で報酬を得た場合には、退去強制事由なる可能性がある!
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。四 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
そもそも働くことが許されていない在留資格なのですから、これは分かりやすいですね。
以上のように、在留資格で認められた活動に違反すると、刑罰や退去強制になる可能性もあります。
様々な事情を考慮して「資格外活動」を許可されることもありますが、原則的には以上のような規制になっているので注意したいところです。
外国人労働者の中には、これぐらいはいいだろうと軽く考えていらっしゃる方もおり、外国人労働者を雇用する事業者も同様に”アルバイトぐらいなら問題ないでしょう”と考える傾向にあります。
日本人の場合には、求職者のパーソナリティーや就業時間、報酬などを検討して雇用を決めると思います。
外国人労働者を雇用する場合には、別の規制が働くことになりますので十分に注意したうえで採用を決定するようにしてください。
うっかり雇用したとしても、外形的には、その外国人が報酬を得る機会を提供したことになるので、外国人労働者の配慮をしてあげてください。
・内定を出してしまった外国人がいるのだけれどもビザが下りるかどうか不安。
・外国人を採用したいけれどもどのような外国人なら採用の可能性があるのか知りたい。
・日本に居る外国人労働者のスキルを知りつつ人材不足を解決したい。
以上のような問題を抱えている事業者様は行政書士阿部総合事務所にご相談ください。
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解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭