任意後見契約の意義については、民法ではなく「任意後見契約に関する法律」に規定があります。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
一 任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第4条第1項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。
成年被後見人等の法定後見制度との任意後見契約の重要な相違点がここにあります。
任意後見契約という名のとおり、「契約」という法律行為をすることが必要になります。
法律行為である以上、有効な意思表示ができる当事者でないと任意後見契約が出来ません。
本人が元気なうちに自分の財産管理を第三者にお願いしたいと思った場合、任意後見制度が出来る前であればどんな方法があったのでしょうか。
一つは、本人と受任者との間で、委任契約をすることが考えられます。
委任契約であれば本人である委任者が後見開始の審判の状態になったとしても契約終了事由ではありません。
逆に言えば、委任契約が生きている以上、本人が意思能力を喪失した場合において任意代理人の権限濫用行為をコントロールできる立場のものが存在しません。
こういった不都合を回避しつつ、本人は安心して財産管理等を信頼できる人に任すことができる制度が任意後見制度なのです。
「元気なうちに任意後見契約」
元気なうちに、という言葉には意思能力があるうちにという意味が込められています。
元気なうちに締結する契約ではありますが、契約自体の効力発生時期は任意後見監督人が選任されたときからとされています。
その任意後見監督人選任には、本人である任意後見委任者の判断能力が不十分になっていることが必要。
つまり、任意後見契約の効力が発生するときには、本人の意思能力に問題が起きてからということになります。
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