2026年8月31日公開
保定中に電話が鳴る。スタッフが手を離し、予約表を開き、診療内容を聞き、空き時間を探す。電話を切った後、どこまで処置したかを確認して仕事へ戻る。予約電話の負担は、通話した3分だけではありません。
WEB予約を導入する前に、電話が何件あるか、誰の仕事を何分止めているかを測ります。数字があれば、必要な機能、削減できる時間、月額費用に見合うか、補助制度を使う意味があるかを判断できます。
電話対応を「忙しい」で終わらせない5つの数字
1.1日の着信件数と用件
予約、変更、キャンセル、診療相談、薬、検査結果、営業電話に分けます。WEBへ移せる用件と、人が聞くべき用件を混ぜないためです。可能なら、つながらなかった着信や折り返しも数えます。
2.1件当たりの通話と事後処理時間
通話時間に、予約表への入力、スタッフへの伝達、確認、折り返しを加えます。録音やメモから転記している場合、その二重作業も含めます。
3.対応する人の職種
受付担当、愛玩動物看護師、獣医師では、止まる仕事と時間単価が違います。獣医師に代わる必要がない用件が、どれだけ診療まで上がっているかも確認します。
4.中断後に仕事へ戻る時間
電話を切った瞬間に元の生産性へ戻れるとは限りません。処置や入力の進行を確認し直す、道具を持ち直す、他のスタッフへ状況を聞く時間があります。電話1件につき30秒でも、件数が多ければ月間では大きくなります。
5.取りこぼしと予約変更
診療時間外の予約希望、話中、折り返しできなかった着信、無断キャンセル、空き枠を記録します。電話対応の省力化だけでなく、予約機会と診療枠の利用率を判断する数字です。
月間負担を簡単に計算する
たとえば、予約関連が1日30件、通話・入力・復帰を合わせて1件4分、月24日なら、月間48時間です。これに折り返しや診療相談は含まれていません。
月間対応時間 = 1日の対象電話件数 × 1件当たり総時間 × 稼働日数
削減時間を人件費へ換算する場合も、単純な削減額だけでなく、空いた時間を診療、看護、説明、休憩のどこへ戻すかを決めます。
WEB予約へ移してはいけない電話もある
緊急性の判断、術後の異変、薬の副反応、複雑な診療相談まで、フォームだけに任せることはできません。WEB予約に移すのは、定型的な予約・変更、来院目的、基本情報、希望日時等です。緊急時の連絡方法や、電話すべき症状を分かりやすく表示します。
また、高齢の飼い主、複数頭、特殊な診療では電話が必要なこともあります。電話をなくすのではなく、電話でなければ処理できない用件に集中できる状態を目指します。
導入前の機能比較
- 診療区分ごとの所要時間・予約枠を設定できるか
- 初診・再診、獣医師、症状等で予約条件を分けられるか
- 事前問診、画像、保険情報を受け取れるか
- リマインド、変更、キャンセル、呼出通知ができるか
- 電子カルテ、顧客管理、会計と連携できるか
- 緊急時・電話対応が必要なケースを明示できるか
- スタッフが無理なく運用できるか
- 登録ITツールか、補助対象経費はどこまでか
診療を止めないことが、説明の質につながる
飼い主は、話を聞いてくれること、説明が分かりやすいことを病院選びの理由に挙げています。電話中断を減らす価値は、単なる人件費削減ではありません。獣医師とスタッフが目の前の動物と飼い主へ向き合う時間を確保することです。
導入後に電話が何件減ったかだけでなく、説明時間、残業、スタッフの中断、予約枠の利用、飼い主からの問い合わせ内容がどう変わったかまで確認すると、投資の効果を説明できます。
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一次情報
1日の電話件数から、投資効果を整理します
電話件数、平均対応時間、対応職種、現在の予約方法、導入候補、概算額、希望時期をご記入ください。
動物病院の予約業務について相談する →本記事は一般的な業務整理です。緊急性や診療上の判断は獣医師・病院の運用基準に従います。ITツールの対象可否は、申請時点の登録状況、公募要領、導入内容等により個別に判断されます。