2026年8月31日公開
午前診療が始まる。受付には初診票を書く飼い主、電話には予約変更、診察室では検査結果の説明、会計では薬を待つ人がいる。「待ち時間」という一つの言葉の中で、実際には別々の列が動いています。
動物病院の待ち時間は、予約システムを入れるだけで解決する問題ではありません。受付、問診、診察、検査、会計のどこで時間が止まり、どの仕事が人を拘束しているかを測ったうえで、IT投資と業務変更を組み合わせます。
院長が知らないままでも、飼い主は待ち時間を評価している
犬猫の飼い主317名を対象とした2026年の調査では、動物病院への改善要望として「待ち時間が長い」34.7%、「予約が取りにくい」21.8%が挙げられました。診療、採用、資金繰り、スタッフ管理を同時に担う院長が、このような外部調査まで追い続けることは容易ではありません。
だからこそ、設備投資を検討するときは院内の感覚だけでなく、飼い主側の数字も使います。ただし、平均待ち時間だけでは不十分です。「いつ呼ばれるか分からない」「費用や検査内容の説明を待つ」「予約の電話がつながらない」といった不確実さも体験を悪くします。
説明を急がずに済む時間を、前工程でつくる
農林水産省資料に掲載された4,726名調査では、動物病院を選ぶ理由として「よく話を聞く」「説明が分かりやすい」がそれぞれ約49%でした。丁寧な説明には時間が必要です。しかし、その時間を削るのではなく、予約受付、基本情報の聞き取り、定型案内、会計準備に使う時間を減らせば、獣医師は診療説明に時間を戻せます。
つまりDXの目的は、人に話さない病院をつくることではありません。機械に任せられる反復作業を分け、説明が必要な場面に人の時間を残すことです。
導入前に、6つの時間を分けて測る
- 来院から受付完了まで:初診情報、保険、症状確認に何分かかるか
- 受付完了から診察開始まで:予約枠と実際の診察開始の差
- 診察中の中断時間:電話、確認、物品探索等で止まる時間
- 診察後から会計まで:薬、入力、確認、決済の待ち
- 予約・変更の電話時間:1日何件、1件何分、誰が対応するか
- 説明と同意に必要な時間:短くするのではなく、確保できているか
平日と土日、午前と午後、予防シーズンと通常月では数字が変わります。まず1〜2週間だけでも記録すると、システムに求める機能が具体的になります。
補助対象になり得るもの、なりにくいもの
補助制度では、登録されたソフトウェア、クラウド利用料、導入設定、操作指導等が対象候補になることがあります。一方、一般のWeb予約サービスなら自動的に対象になるわけではありません。製品名を決める前に、登録ITツールか、どの業務プロセスを改善するか、既存システムと連携できるかを確認します。
- WEB・LINE予約、順番待ち、呼出通知
- 事前問診、顧客・診療情報の連携
- 見積、同意、会計、決済
- 電子カルテ・検査機器との連携
- 導入設定、データ移行、操作研修
「平均待ち時間を短くする」だけを目標にしない
緊急症例が入れば、動物病院の診療時間は予定どおりになりません。目標は、待ち時間をゼロにすることではなく、予約枠の精度を上げ、飼い主が状況を把握でき、スタッフの中断を減らし、獣医師が説明に使える時間を確保することです。
システム導入後は、待ち時間だけでなく、電話件数、残業、予約変更、無断キャンセル、説明時間、飼い主からの問い合わせ内容がどう変わったかを確認します。数字が変わらなければ、設定や運用を見直します。
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一次情報・調査資料
システム名より、止まっている業務を教えてください
現在の予約方法、1日の来院数・電話件数、困っている工程、導入候補、概算額、希望時期をご記入ください。
動物病院の受付DXについて相談する →調査結果は回答者全体の傾向であり、個別病院の評価を示すものではありません。ITツールの対象可否は、申請時点の登録状況、公募要領、導入内容等により判断されます。