2019年10月31日の日経新聞夕刊です。
終活手帳、身近な情報から
ネットのパスワード・公共料金口座… 書き足しつつ生活見つめる
2019/10/31付日本経済新聞 夕刊
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自らの葬儀やお墓など終活に関わる情報を記すエンディングノート。記入は一大事と身構えてしまうが、日々の予定を記す手帳のように用いる人も多いようだ。お金に関わる情報や友人の連絡先などを少しずつ書き足すことで「生活を見つめるきっかけにもなる」という。終活手帳の「生かし方」を探ってみた。吉田裕子さん(左)はノートに鉛筆で書き残す手法を友人にも伝える(千葉県四街道市)
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吉田裕子さん(左)はノートに鉛筆で書き残す手法を友人にも伝える(千葉県四街道市)千葉県四街道市の会社員、吉田裕子さん(48)が使うのはB5の薄いノートだ。ページをめくると「銀行口座」から「葬儀・お墓」といった終活に関わる分類がしてある。吉田さんは所々に鉛筆で情報を記している。
通販サイトのパスワードや電気料金の引き落とし口座など生活に直結した内容が多い。吉田さんは「もしものときに困るのはあすの生活を続けるための情報」と話す。
40代に入り、3人の友人をがんで亡くした。遺族からは「故人名義のカード情報を変更したいが方法が分からない」といった話を聞いた。吉田さんは今のところ健康に不安はないが、夫と2人の息子がいる。5年前にノートを買い、身近な情報から記し始めた。
吉田さんは手帳への記入は鉛筆を使う。葬儀や連絡してほしい友人についての希望も記しているが、書き直す可能性もあるためだ。公共料金の支払いに変更があったときなど手帳を見返す。「終活だけでなく、生活を見つめるきっかけになる」と語る。
埼玉県川口市の自営業、細田知恵さん(47)が使うのはページの差し替えができるバインダー式の手帳だ。銀行口座や保険について鉛筆で記すが、消しゴムの跡などが残るのは苦手な性格という。「差し替え式はいつもベストな状態が保てるのがいい」と話す。
気持ちを込めるのは、2人の娘にあてたメッセージだ。年末年始など時間ができたときに見返す。友人の連絡先などは空欄にしているが、「徐々に埋めていけばいい」と考えている。
バインダー式の手帳は、行政書士の阿部隆昭さん(51)が母親を亡くした経験からメーカーに働きかけてつくった。遺族は死後の手続きに必要な情報がまとまっていれば、慌てず故人をゆっくりしのぶことができる。
従来のエンディングノートは相続など項目が詳細にわたる分、分厚いものが多かった。阿部さんは「必要なことから書き込めるバインダー式にすることで、記入のハードルを下げたかった」と話す。
終活情報は紙だけでなく、パソコンやスマートフォンを通じて伝えることもできる。埼玉県越谷市の臼倉登貴雄さん(71)はインターネット通販や交流サイトの情報を1つのファイルで管理し、家族に伝えている。「死後の手続きはネットを通じたものも多く、パソコンで一括管理していたほうが円滑に進む」との考えからだ。
臼倉さんはセミナーなどでこうした手法をすすめている。ただし「75歳を過ぎるとパソコンでの情報管理に困難を感じ始める」のも実感するという。終活はデジタルな情報伝達も学びつつ、気軽に始めたい人は手帳から、というのが現実的なようだ。
(高橋元気)
大手メディアに掲載されるのは、週刊文春誌に掲載されて以来。
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家系図作成業務を再開したことでもありますし、終活関連業務にも力を入れていきます。
行政書士阿部隆昭