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『マイナンバーがやってくる』日経BP社刊 マイナンバー制度が俯瞰できる良書|行政書士阿部総合事務所

May 6, 2015
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約 6 分

『マイナンバーがやってくる改訂版』

日経BP社 市民が主役の地域情報化推進協議会 番号制度研究会 編

学習院大学法学部教授 森田朗 監修

 

マイナンバー制度の解説本は多く出版されています。

その中でもこちらの書籍は良書。

 

第一章の「マイナンバーを読み解く10の素朴な疑問」も分かりやすい。

「そもそもなぜマイナンバーが必要なのか?」では、

1.きめ細やか社会保障サービスの実現のため

2.行政の効率化のため

3.激甚災害に対する備えのため

と、簡潔に回答されています。

 

何でもそうですが、細かいところを見過ぎると新しい制度を理解するのは難しいですね。

制度趣旨さえ最初に理解してしまえば、後はそれを実現するための手段です。

「正確な所得の把握」と「確実な給付」を行うためには、国民一人ひとり固有の識別番号が必要だとも言えるでしょうし、それが同時に行政の効率化にもつながります。

また、先の東日本大震災の際には、被災されて方々の本人確認に著しく苦労されたというのは良く聞く話しです。身分証明書等の本人確認書類の一切を失ってしまった場合には、自分自身が何者かを証明する手段が難しいというのは想像がつくはなしです。

 

 

本書の見どころは、「第二章 番号制度で日本はこう変わる!」と題された座談会です。

座談会は二部に分かれ、座談会1は自公民の各議員、亀田総合病院の亀田名誉理事長、リコージャパン株式会社遠藤紘一氏

座談会2は全国知事会会長、全国市長会会長、全国町村会会長などが行政の現場の視点からマイナンバー制度について討論されています。

 

自民党の平井たくや議員

あれだけコストを書けたのに、住民基本台帳カードは僅か4%、650万人にしか普及していない。国民の多くは、既に番号が振られていることを知らないのです。

住民票コードが新しくマイナンバーに心機一転したからといってバラ色の未来があるという簡単な問題ではない。

システム開発の責任の所在を明確にするとともに、費用対効果を事前に明らかにする必要があります。

 

 

平井たくや議員は、IT戦略特別委員会の中心メンバーで、電子政府関連施策に深く関わっているというだけあって発言は興味深い。

最初は、国民全員に番号を振るだけです。例えば自動車運転免許証と合わせると本人確認でその番号が使えます。

あなたには、あなただけの番号がありますと、全国民にカードで知らせる。それを一番コストのかからない方法でやろうというのが我々の提案です。

もっとちゃんとしたものが欲しいという人には、役所へ行って写真を撮って写真付きのカードをもらえるという選択肢があるということです。

結局、この番号というのは、言い方は悪いですが国が国民をどう管理したら一番効率的かという発想から来ていて、国民がこういうカードが欲しいという発想から来ているわけではありません。

 

もしかしたら、国が管理するという部分に嫌悪感を抱く方もいらっしゃるかもしれません。

最初に書いた「そもそもなぜマイナンバーは必要なのか?」の回答である、行政の効率化やきめ細やかな社会保障サービスの実施とのバランスということなのでしょう。

 

座談会2では、「個人的には、どういった面で番号制度が必要だとお感じになったのでしょうか。」という司会の問に対して、森民夫氏(全国市長会会長、新潟県長岡市長)は、こう答えています。

私の場合は、やはり2004年の中越地震ですね。この時、建物の被害状況に応じて生活再建支援金が出るわけですが、その相談に乗るのに、被災者一人に一時間以上かかりました。80歳で一人暮らしのお年寄りに市役所に来ていただいても、預貯金通帳の番号も、住宅の広さも、所得もわからない。

そういう方の情報が一発でわかるようなシステムの必要性を痛感しました。

福島の原発事故のときにも、同じことを感じました。長岡市に避難バスが何台も来られたのですけど、名簿がないので住所もわからない、ましてや介護保険がどうなっているのかという情報が一切ないのです。

どんな治療を受けていて、どんな薬を飲んでいるのかということを本人も含めて誰も分からないというのは、大変な問題だと思いました。

 

行政の現場に携わっている方の声としてとても貴重な意見だと思います。

巨額な税金を投入してまで国民を一元管理する制度をなぜ作ろうとしているのか?といった視点も大切。

なぜマイナンバー制度なのか?といった理由付けについても同時に考える必要があります。

 

マイナンバー関連書籍の中では、政府が検討してきた経緯や、行政の現場の感覚なども知ることができる良書だと思います。

 

 

 

 

 

Q3-2 個人番号カードは、何に使えるのですか? 通知カードとどう違うのですか?
A3-2 個人番号カードは、住民基本台帳カードと同様、ICチップのついたカードを予定しており、表面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)と顔写真、裏面にマイナンバー(個人番号)を記載する予定です。本人確認のための身分証明書として使用できるほか、図書館カードや印鑑登録証など自治体等が条例で定めるサービスに利用でき、またe-Tax等の電子申請等が行える電子証明書も標準搭載されます。電子証明書については、[Q3-4]をご覧ください。 
一方、通知カードは、紙製のカードを予定しており、券面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)、マイナンバーは記載されますが、顔写真は記載されません。なお、通知カード単体では本人確認はできませんので、併せて、主務省令で定める書類(運転免許証等となる予定)の提示が必要となります。(2014年6月回答)

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq3.html

 

 

 

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行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。