マイナンバー制度による対応が求められるのは、主に国、地方公共団体、民間事業者、そして個人。
個人の対応については前回も書いたように、平成25年10月から通知される「通知カード」を適切に受け取ることができるようにしておくぐらいでしょう。
国や地方公共団体は、マイナンバー制度を利用する本体なのでそれなりシッカリとした対応で臨んでいるでしょう。
問題なのは、民間の事業者。
マイナンバー制度がスタートすると、民間事業者には従業員個人のマイナンバーについての「収集」および「管理」についての適切な対応が求められます。
マイナンバー収集について
大切なデータであることからマイナンバー(個人番号)の収集の場面では、利用目的を明示し、厳格な本人確認手続きを執ることが必要です。
Q4-2-2 従業員や金融機関の顧客などからマイナンバー(個人番号)を取得する際は、どのような手続きが必要ですか?
A4-2-2 マイナンバーを取得する際は、本人に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防止するために厳格な本人確認を行ってください。利用目的の明示については[Q4-2-3]、本人確認については[4-3 本人確認]を参照してください。(2014年7月回答)
従業員からマイナンバー(個人番号)の数字を提出してもらうときに本人確認が必要なのは常識的にも分かります。
社会保障、税などの手続きで個人を特定できるようにするための制度なのですから、他人のマイナンバー(個人番号)に紐付けされると混乱してしまうことになります。
ではなぜ、収集の際に利用目的を明示しなければならないのでしょうか?
利用目的の明示について。
Q4-1-3 マイナンバー(個人番号)を使って、従業員や顧客の情報を管理することはできますか?
A4-1-3 マイナンバーは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の手続き以外で利用することはできません。これらの手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客などにマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管したりすることもできません。
法律や条例で定められた手続き以外の事務でも、個人番号カードを身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、個人番号カードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。(2014年6月回答)
マイナンバー制度はそもそも、個人を識別できる個別の番号を付することによって様々な機関で情報連携することで、結果、私たちの利便性を向上するものとして制定されています。
しかし、現段階では、その利用範囲はあくまで社会保障、税、災害対策、この3つの分野に限っての利用に限られています。
目的が社会保障、税、災害対策である以上、それ以外の目的で利用することは行政機関ではない民間事業者としても許されないことなのです。
といっても、民間事業者としては、何らかのシステム上で従業員のマイナンバー(個人番号)を管理することになるでしょう。
懸念されるのは、管理をする上で、社会保障、税、災害対策以外のデータと関連付けをされること。
だからこそ、内閣官房の公式サイトでもQ&Aが挙がっているわけです。
一旦、マイナンバーを事業者に提出してしまえば、その後どういった管理がなされているのかは従業員としては分かりにくいですし、確認しようもないというのが実際でしょう。
であるからこそ、従業員のマイナンバー(個人番号)を収集した事業者には適切な管理義務が求められます。