補助金や助成金、融資、コンサルティング業者が「活躍」している事例を依頼した当の事業者から話しを聞くことがあります。
「法外な助成金成功報酬を請求された」
とかは最もよく聞くケース。
前々回の公募時期だったかな、ある経営者と面談した際に小規模事業者持続化補助金の時期に「チラシがたくさん入れ込まれていて、そのうちの一社に電話で依頼してしまった」と聞かされた。
”しまった”という言い方をするぐらいなので、依頼したことに後悔している。
その理由がなるほどなあと思わせるものだった。
詐欺集団などのドキュメンタリー番組などである、「カモリスト」なるものがあるのではないか?という。
そのコンサルティング業者に電話したところ、立て続けに他の助成金、補助金、事業資金を融通するという話しなどが舞い込んできたらしい。
もちろんそれは偶然、たまたまかも知れないし、コンサルティング業者間で情報を共有しているのかも知れない。
情報を共有しているなんて言うとなんだか美しいが、「この事業者はキャッシュがあるし、貰えるカネは貰いたいって手ぐすね引いている。」といった情報を共有し合い、営業かけているのかもしれないですね。
補助金申請、助成金申請、融資などの資金調達を誰に依頼するのか?
事業者にとっては実は大切ですよ
、といった内容が今回のエントリーです。
現実に、補助金申請などの委託契約を結ぶ際には、そこで守秘義務、秘密保持条項が盛り込まれているケースがほとんどでしょう。
しかし、契約前の相談レベルだとどうでしょうか?
相談の実効性を高めるためには、ある程度の情報を提供する必要があります。
補助金助成金申請で言えば、どのような事業をしているか?、補助金助成金の対象経費は何を予定しているのか?、新規事業開発の内容は?、といったこと。
融資も同じですね。
なぜ融資を受けたいと考えているのか?
新店舗をオープンしたい、新規事業開発に先出しの費用がかかる、運転資金が不足している、などなど様々な事情があるでしょう。
それによって、相談の結果も異なります。
なので、企業秘密とされる情報も、こと「相談」という場面では、かなり深いものまで提供することになるのが普通。
さて、依頼したいという事業者から相談にかかる情報提供を受けた側はどうするか?
委託契約締結前の相談レベルなので、守秘義務契約などはもちろん結んでいない。
だからと言って情報を仲間の業者と共有して良いとはもちろんならないですが、それはわからない、というか歯止めの掛けようがないのが実情。
なのですが、例えば、行政書士の場合には「行政書士法」により法律上の守秘義務が負わされています。
たとえ、委託契約前の相談レベルでも。
行政書士法第十二条 行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
行政書士が業務として相談に応じた際、知ることができた秘密は漏らしてはいけない、といった内容が法律で定められているのです。
なので、業務の委託契約に関わらず、法律上、秘密保持義務があるのが行政書士に相談するメリットです。
コンサルタント業者との違いです。
もちろん、ここまで書いてきたことは事業者からヒアリングした想像のお話しで現実に「情報共有」されているのかは分かりません。
ただ、フツーの人は、行政書士などの士業が法律上の守秘義務に縛りを受けていることは知ることがないでしょう。
その資格試験の学習でもしない限り。
さて、これらは専門家を選ぶ際の一つの視点に過ぎません。
人となり、経営理念、報酬額、様々な要素で専門家に依頼しますよね、私たちは。
私は行政書士ですので、司法書士の業務をすることが法律上出来ません。
仕事柄多くの司法書士を知っていますが、依頼する司法書士は一人だけです。
というか、開業以来、その司法書士以外の他の司法書士に仕事をお願いしたことがないぐらい信頼しています。
別に司法書士という資格で信頼しているのではなく、仕事ぶり、安心感、人となり、いろいろな要素でその司法書士に決めているのです。
一般の方が専門家に相談するとき、まあ、今回書いたようなことは現実にはないと思いますが、事業者の支援に回る私たち専門士業のように他の事例を知ることがないでしょうから、あくまで情報提供の意味で書かせて頂きました。
行政書士阿部隆昭