地元企業の経営者グループと一緒に日本語学校で就活セミナーを行ってきました。
参加者は、日本で就職する意向が強い外国人留学生7人です。
「外国人が多い業種は?」、「面接のときに気をつけることは?」、「履歴書はどう書いたらよいのか?」などあらかじめ与えられた質問リストに従って経営者たちが答える形式でセミナーは進められました。
私からは伝えたのはこのようなことです。
外国人が就職を成功させるには、「知識」と「経験」が必要になる。
留学生の場合には、その一つである「経験」がないのです。だから「知識」で勝負するしかない。これまでに培ってきた知識が、就職先企業の事業にどのように活かされ、またどうして業績向上に繋げることが出来るのか?
留学生が持っている知識がどのように活かされるのかを詳しく説明するためには、絶対に日本語能力が必要です。日本語能力があれば仕事も円滑に進み、会社の人間関係もスムーズになる可能性が高くなるのです。絶対にそうなるわけではありませんが、可能性という意味では向上するのは明らかです。このあたりを上手にアピールすることが出来れば就職が成功する確率はアップする。外国人留学生はN2でも足りない、N1レベルの日本語能力の習得を目指すべきです。
「留学生のアルバイト経験は、就職活動にプラスになるのか?」という質問もいただきました。
留学生の場合には、原則一週間に28時間しかアルバイトが出来ません。そうなると、職種もコンビニのレジ打ちやレストランのホール作業が主になってきます。その場合、就職先の業務と関連して、「経験」と評価される可能性は少ないだろう。ただし、飲食業などの本部採用の場合には、事前に現場を知っている、ということでプラスの評価に繋がる場合もあるかもしれません、と回答しました。
また、日本人のように、”採用して育てて一人前にする”、という考えが通用しにくいのも外国人社員採用で注目しなければならない点です。
というのも、在留資格には期限があります。更新出来るかどうか分からない1年や3年という期限が決まっている中で、研修プログラムに則って会社の戦力になるように育てるのは難しい。いきおい、外国人に対しては「即戦力が」求められるのです。
外国人社員の問題を考えるときは、ビザ(在留資格)の知識がどうしても必要になります。
というのも、外国人にとっては日本に在留するベースになるのが在留資格だからです。働くビザのほとんどは、その方が勉強してきたこと、経験してきたことに影響されます。ビザ(在留資格)の手続きは、単に手続きのことだけではないのです。
繰り返しになりますが、外国人にとってビザとは、生活し就労するベースになるものです。ですので、日本で就職し、日本で生活する外国人であればビザをベースに考える必要があるのです。
このあたりが外国人社員採用で難しいところなのです。
日本人を雇用するのと同じ部分もあれば、明らかに違う部分もあります。その異同の多くは、ビザ(在留資格)の知識がないと明らかになりません。
また、これも是非外国人の方に知っておいてほしい。
ビザについて正確な知識を持って欲しいということ。
これは、以前にもブログに書きました。
外国人の方は、当事者であるのでビザの知識を豊富に持っている方が多いですね。
しかし、残念ながら外国人の方が持っていると思っている「知識」は単なる経験談に過ぎません。
Aさんのときはこうやったらビザが下りた。Bさんのときはこうやったら3年のビザが取れた。
AさんとBさんの経験談を組み合わせたからといって、新しく申請するCさんのビザ申請が許可されるかどうかは全く関係がありません。
入国管理の審査は、入管法や入国・在留審査要領によってなされるのです。よろしいでしょうか?
経験談はときに重大な過ちを生む原因になりますので、ビザ関連の疑問や質問は、入国管理局への申請取次を持っている行政書士などに確認して正確な回答を得て下さい。
外国人留学生だけでなく、外国人の方が日本企業へ就職するためにしなければならないこと、気をつけた方がよいことをこれからも伝えてまいります。
解決支援コンサルタント 入国管理局申請取次行政書士阿部隆昭