一度でも部下を持ったことがある方なら分かると思います。
部下が上司の言うことを聞かない!
”部下は上司の言うことを聞くもんだ”、といった固定観念が私たちにはあります。
サラリーマン時代の私が初めて部下を持ったときもそうでした。
”部下が言うことを聞くにはどうしたらいいか”、そんなことばかりを考えていたときに出会った言葉が「イラショナルビリーフ」です。
聞いたことがない方も多いと思いますが、考え方そのものは全然難しくありませんし、私たちが慣れ親しんでいる言葉に簡単に置き換えることで覚えたりしなくても大丈夫です。
イラショナルビリーフ=固定観念
イラショナルビリーフは、アメリカの論理療法の学者が提唱した概念ですが一般的には「固定観念」と理解してもらっても問題ありません。
部下は上司の言うことを聞かねばならない
この考え方をイラショナルビリーフと呼びます。
私たちがよく使う固定観念ですよね。
私たち人間は感情で生きています。
固定観念の塊です。
モノゴトが上手くいかないときに、「こうあるべきだ」という固定観念が噴出してくるのです。
固定観念という感情を論理で抑え込むのは難しいです。
上司の言うことを聞かない部下を前にして、部下は上司の言うことを聞くべきだというイラショナルビリーフを捨て去ることで社内の人間関係、風通しが良くなります。
しかし、それを実践するのは難しい、頭で分かっていても、感情の問題ですので。
ひとつ事例をご紹介します。
あるイタリアンレストランがありまして。
シェフ、ホールスタッフとの連携が上手くいっておらず、オーナーの指示を通らなくなり売上にも影響が生じてきました。
ある日、その店にイタリア人をホールスタッフ兼シェフとして雇ったんですね。
その店では一番若いイタリア人スタッフは新人です。
既存の日本人スタッフ全員の部下です。
部下は上司の言うことを聞かねばならない、というイラショナルビリーフを全員持っています。
ですが、部下はイタリア人です。
イタリア人に対して、部下は上司の言うことを聞かねばならないという日本人のイラショナルビリーフを押しつける人はいません。
外国人だから仕方ないか、といういい意味での諦めに似た感情が、日本人スタッフそれぞれのイラショナルビリーフを無意識に捨て去ることになり、結果、厨房やホールの人間関係も上手くいき売上にも影響が出ました。
ロジックはとても分かりやすいです。
マンネリ化した人間関係に新しい風を入れたことによって社風が変わった。
ここで入ってきたのは、イタリアの風です。
イタリアンレストランのいわば広告塔として入社したイタリア人ですが、図らずも従業員たちのイラショナル・ビリーフを捨て去り、結果的にその存在そのものが売上アップに貢献することになったのです。
あくまでこれは一例ですが、外国人社員を雇用することによってこのような思わぬ効果を生むことがあるのです。
イラショナル・ビリーフによって膠着した人間関係をガラッと一変させるための外国人雇用。
外国人社員雇用の一つの事例として参考になさってください。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭