大人になると実印の登録をする方も多いと思います。
公的にも私的にも重要な契約や申込には実印の押印を求められることが多いでしょう。
実印の登録は、一般にその人の氏名が彫られたものを利用します。
「氏」だけでもいいですし、「名」だけでもいい。
原則として、住民票に登録されている氏名が書かれた印鑑が登録できます。
女性の場合ですと、婚姻によって苗字が変わる場合が多いので、下の名前「ゆかり」とかで登録する方もいらっしゃいます。
これまでの経験ですと、下の名前だけの実印は実は少ないです。
登録印鑑の変更の手間が省けるのでいいと思うのですが。。
そんな実印ですが、
斜めに押してはダメなのか?
とか、
逆さまに押してはいけないの?
と聞かれたことがあります。
※出典 東京都北区
実員を押すときに、上下を気にされて、キッチリ押される方はあまり多くないです。
そのキッチリさんですと、他の用紙に一度押してから本番の契約書に押したりとか、契約書に顔を近づけて上下間違いように押されたりしています。
ほとんどの方は、押す前に印影の面を目視してだいだいの感覚で押します。
なので、斜めは普通にあるのですが、逆さまは滅多にありません。
実印は、斜めに押そうが、逆さまに押しても構いません。
たとえ、逆さまに押されたとしても実印としての意味にはまったく影響なし。
上下逆さまに押した実印には、その人が本意ではなく押したという意味
といったような都市伝説があるようですが、印鑑の押し方でその人の意思の推測など出来るわけもありません。
注意しなければいけないのは、
印影が不鮮明はNG!
「印影」というのは、契約書などの紙に印鑑を押した後の、紙に残っている印鑑の文字と枠のこと。
斜めでも逆さまでもOKですが、印影不鮮明はダメです。
なぜかというと、
印鑑証明書に書かれている印影と照合が出来ないから
実印を押すのは多くの場合、印鑑証明書と印影を照合するからです。
その契約書などに押されている印影と、印鑑証明書の印影が同じことをもって本人確認としていることが多いです。
難しい話になるので読み飛ばして頂いて良いのですが、民事訴訟法では、文書の成立の真正といった問題になることもあるのです。
(文書の成立)
民事訴訟法第二百二十八条文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
結論は、
印影がしっかりと確認できるように押してあれば、向きは関係ない
となります。