例えば、以下のような関係があったとします。
A社がデータ入力業務をB社に業務委託。
よく言うアウトソーシングっていうアレです。
データ入力業務ですから当然A社の秘密情報に当たるような情報がB社に流れるわけですよね。
そこで、A社としてはB社から秘密情報を漏洩させないために秘密情報保護の契約書を締結したい。
それで万全かと言うと、実はそうでもありません。
現実問題として秘密情報に触れるのはB社という法人そのものではなく、B社に所属している役職員であるはず。
「役職員」というのは「役員」と「職員」のこと。
つまり、秘密情報を見て確認して手を使ってデータを入力する作業はB社という法人ではなく、B社で働いている個人であるわけです。
ということは、秘密情報に直接触れる個人から、”私は秘密情報の漏洩に当たる行為はしません”といった内容の誓約書を提出してもらいたいのが本当のところ。
ですがこの、秘密保持誓約書はA社宛に出すことが難しい。
B社に雇用されているXさんは、雇用主であるB社に対して誓約することは出来ますよね。
秘密情報を守るために行動することは就業の一環だとも考えらえます。
しかし、XさんがA社に誓約することはおかしなことになってしまう。
個人であるXさんが第三者であるA社と契約をするのは望ましくないでしょう。
あくまでXさんはB社との雇用関係あるいは委任関係にあるからこそ役職員として業務に従事しているから。
A社としては、B社だけではなく、B社で働くXさんにも誓約書を出して欲しいと思うのも無理もありません。
しかしこれは無理な話なので、XさんがB社宛に提出して「秘密保持誓約書」のコピーをA社が保管するという実務の流れになります。
少し複雑な話にはなりましたが、ロジックで考えてもらえれば難しい話ではありません。
秘密保持契約書ではなく、秘密保持誓約書の誓約の相手方はそもそも誰なのか?
お分かり頂けましたでしょうか?
解決支援コンサルタント野獣系行政書士阿部隆昭