「覚書なら押すけれど、契約書には判をつかない」
と相手方から言われたがどう対応したらよいのか?
といった相談を受けることがあります。
覚書のほうが軽く、契約書の方が責任が生じてしまうような印象がありますが、実はそうではありません。
また、契約書や覚書の違いの一般的な説明として、覚書は後日契約書としてまとめるための暫定的なもの、とされている例もありますが、これも誤解を生じる表現として適切ではないでしょう。
というのも、「覚書」を締結するけれども後日の本契約を予定していない場合や、後日の本契約を予定していても「覚書」段階で止まっている場合は、珍しくありません。
「覚書」に書かれた内容が、契約になっていればタイトルが「覚書」であっても、それは契約書になります。
したがって、「覚書」だから未だ大丈夫だろう、とか、「覚書」だから契約書よりも軽いだろう、と判断して署名押印するのはとてもキケンなことだと言えます。
例えば、覚書の内容が、後日の契約する基本契約の概要は、基本契約の締結予定日、などしかない場合には、それは純粋な意味での「覚書」と扱って問題ないでしょう。当事者の基本姿勢を確認するだけの意味しかないと推察されるからです。
一般に「覚書」とされている文書には、契約書と同等の合意事項が書かれていることは多いので、合意内容に齟齬がないか等をよくよく確認してから調印されることをお勧めします。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭