【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ19回目の今回は、前回に引き続き信託法の改正によって新しく認められた信託に関する機関である「受益者代理人」について説明を致します。
信託の利益を受けるのが、「受益者」であることはこれまでに説明したとおりです。
「受益者代理人」という言葉の意味から想像がつくとおり、受益者の代理人のことを「受益者代理人」といいます。
この受益者代理人も信託監督人と同じように新しい信託法によって新たに制度化されました。
精神障がい者を信託の当事者とした親なき後問題対策としての家族信託などでは、信託設定時から受益者代理人が必要な場合があります。
当初の受益者が意思能力に不安がある者ですと、受益者として信託の利益を享受出来るはずなのに権利行使が出来ない場合もあるわけです。
そのような時に受益者代理人を選任しておくことにより、受益者の権利が守られることになります。
受益者の強い味方になるのが受益者代理人だと思って頂けばよいでしょう。
しかし、受益者代理人を置く場合には気をつけなければいけないことがあります。
受益者代理人には信託契約等で定めがない限り、受益者の権利に関する一切の裁判上及び裁判外の行為が出来るという強い権限を持っています。
信託法が予定しているとおり、それが受益者のためになれば良いのですが、受益者代理人が受益者の権限を濫用してしまうかもしれません。
だからこそ、受益者代理人を誰にするかをよく検討することがとても大切です。
私たち行政書士のような専門家を受益者代理人に指定するのも一つの方法です。
ただし、行政書士などの専門家なら誰でも良いわけではもちろんありません。
最低限、信託のことをよく理解している専門家に受益者代理人を指定することが望ましいでしょう。
次回の【超簡単家族信託】WEB講座は20回目です。
節目の回ですので、これまでの講座をまとめる意味も込めて、信託とリスクマネジメントについて考えてみたいと思います。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭