【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ二回目の今回は、「信託」を「遺言」と比較します。
共通しているのはどれも「終活」の一つの手段として利用されている仕組み。
それぞれ特徴がありますので信託制度を概観しながら比較してみましょう。
信託と遺言との比較で最も特徴的な違いは、当事者の数。
遺言は、遺言をする人の単独の意思表示で成立します。
二人揃っての「共同遺言」は法律で禁止されていますし、遺言はその人の最後の意思表示として尊重もされています。
行政書士などの専門職が遺言書の作成をお手伝いする場合でも、遺言をするのは誰か?と問われれば遺言者ただ一人です。
また、遺言書は、遺言をする人だけの意思表示で済むので簡単である反面、出来ることが限られてきます。
遺言ですることができる行為は法律で定められており、それに反する行為を遺言で書いても効力を生じません。
対して、
家族信託は、「委託者」、「受託者」、「受益者」の三人が最低でも必要。
※例外的に違うケースもあります。
遺言の場合は当事者が一人、家族信託の場合は当事者が三人。
それだけに家族信託は遺言に比べて複雑な仕組みになってしまうのがデメリット。
ですが、そのデメリットを遥かに上回るメリットが信託制度に秘められています。
例えばその一つとして、
家族信託の「自由度の高さ」があります。
信託は契約で内容を決めることが出来ます。
家族の円満な財産承継を目的としているのは「遺言」も「家族信託」も同じ。
しかし、家族信託には、財産の管理や処分の自由が受託者の権限として明記できるのが最大のメリット。
信託契約によって受託者に財産の管理処分権を与えることによって、財産を投資することや、相続対策のために不動産の処分をすることも可能になります。
納税資金を確保するための処分をすることもできる。
家族信託は、財産処分についての自由度が高いので、遺言で財産の承継を定めるよりも機動的な財産管理が出来、結果的に家族の円満な財産承継の目的を叶えられる可能性が高まります。
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ2回目のまとめ
遺言は、単独の意思表示なので簡単ですが、財産承継の自由度が低い。
家族信託は、三人の当事者の信託契約なので複雑ですが、より自由度の高い家族の円満な財産承継を組み立てることが出来る。
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【超簡単家族信託1】「家族信託」と「民事信託」との言葉の違い|行政書士阿部総合事務所