無料連続WEB講座【超簡単家族信託】シリーズの24回めです。
いよいよ明日は親なき後問題対策としての家族信託講座の開催日となりました。
当事者のご家族の方や福祉関連職の多くの方にご来場頂けることを期待しています。
今回は、信託事務処理代行者について考えてみます。
信託事務処理代行者って何ですか?
平成19年9月に改正施行された新信託法によって新しく認められた制度です。
改正前の古い信託法では、第三者に信託事務を委託することを禁止していました。
それが新しい信託法では信託事務を第三者に委託できるのが原則になったのです。
信託制度を使いやすくするための大きな改正点でした。
親なき後問題対策としての家族信託での信託事務処理代行者は?
事例で考えてみましょう。
委託者:親御さん
受託者:叔父
受益者:障がいのある本人
信託の受託者(信託財産の管理処分を任される人)が第三者に事務を委任することが難しい旧信託法の時代では、受託者としては大変な事務負担を強いられることがありました。
受託者であう叔父としては、障がいのある本人のためといっても、大変なわけです。
事務負担も責任も重い受託者になろうとする者も少なくなるでしょう。
結果的に、信託制度の利用の弊害になっていました。
ところが、新しい信託法では、受託者の叔父は、信託事務を第三者に委任することができます。
実際問題として、信託事務の全てを受託者が執り行うのはとても負担が大きい。
私が関わっていた家族信託スキームでもほとんどのケースで信託事務処理代行者が定められていました。
誰でも信託事務処理代行者になってもいいの?
実は、信託事務処理代行者には一定の制限がかかっておりますので、誰でもが代行できるわけではないのです。
信託法の第35条で「第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。」と定められています。
「信託の目的に照らして適当な者に委託しなければならない」、といってもですね、ではそれは誰なんだろうということですが。
一般的には、受託者よりも専門的な能力に長けている専門家とされています。
具体的には、行政書士、弁護士、司法書士などのうち、信託実務に詳しい実務家がそれに該当するでしょう。
一点だけ注意することは、専門家に信託事務処理代行を依頼する場合には、当然報酬が必要になります。
特に親なき後問題対策としての家族信託の場合には、受益者である障がい者ご本人が若い場合も多く、信託の期間も長期間が予定される場合も多い。
ということは、信託事務処理代行期間も長期になり、事務処理代行報酬もそれだけ必要になることを考慮しなければなりません。
まとめ
信託事務処理代行者を選ぶ際の注意点は二つ。
誰を信託事務処理代行者に選ぶか?
信託事務処理代行報酬を支払うことが出来るのか?
これらを検討して上手に家族信託を創りあげることを目指します。
【家族と企業の羅針盤】
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭