【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ3回目の今回は、「家族信託」を「成年後見制度」と比較してみましょう。
ある意味、家族信託と成年後見制度とは、まるっきり反対の考え方に基づく制度と言えます。
成年後見制度とは、ご存知のように家庭裁判所に後見の申立をすることによって、成年後見人が付されて家庭裁判所の監督下に入ること。
したがって、自由な資産運用などもってのほかで、被後見人である本人の保護を目的とする支出しか許されないのが原則です。
考え方としては、後見の申立時にある財産をいかに減らさないようにするか?
被後見人の財産から大きな額の支出をする際には家庭裁判所に事前に相談することになるでしょうし、被後見人の自宅を処分(売却や担保に入れて借入をするなど)するには家庭裁判所の許可が必要になるのです。
被後見人である本人保護の名目のもとに柔軟な資産承継をすることが出来ないのが成年後見制度のデメリットでもあります。
成年後見制度に対して、家族信託は幅広い自由が認められており、財産の処分等も信託契約で定めることによって可能になります。
信託の受託者(管理や処分を任される人)には、善良な管理者の注意義務や忠実義務(受益者のために信託事務を処理する義務)が課せられています。
信託事務を誠実に処理する義務を負っている受託者が、委託者(財産の所有者)の財産(信託財産)を契約に定められた目的にしたがって自由に運用できるのが成年後見制度にはないメリット。
もちろん、委託者である本人の住まいである不動産を売却する場合でも、成年後見制度と違って、裁判所の許可等は必要ありません。
成年後見制度の監督機関である家庭裁判所とは違った性質ではありますが、家族信託でも「信託監督人」を任意に置くことにより監督機能を持たせることが可能です。
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ3回目のまとめ
成年後見制度は、柔軟な財産承継をやりにくい
家族信託は、信託契約で定めることにより自由度の高い家族の円満な財産承継が可能になる。
成年後見制度は、家庭裁判所が監督しているので安心である反面、本人保護を重視し過ぎるきらいがある。
家族信託でも、契約で信託監督人に監督機能を持たせることは可能。
次回、【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ4回目は、家族信託を特徴づける最強の機能、倒産隔離について触れます。
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ1回目
【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ2回目