【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ5回目の今回は、「家族信託」の中でも「遺言代用信託」と「遺言」の比較をしてみたいと思います。
今回の遺言代用信託は少し難しいです。
ですが大丈夫!
遺言代用信託を理解するにはちょっとしたコツがあります。
遺言代用信託を理解するには、「遺言」ということを忘れること。
遺言代用信託といっても、本質は信託に他なりません。
信託ですから成立するには、原則として契約行為が必要です。
対して、遺言はどうでしょうか?
遺言を作るときに他の誰かと契約をしたりしませんよね?
遺言者一人だけの単独行為で成立します。
遺言代用信託という用語ですが、「遺言」という言葉につられずに、遺言とは全く別の行為という点からスタートすると理解がとても早いのです。
ではなぜ?遺言代用信託という名称になっているのでしょうか?
それは、遺言の代わりとして利用できる仕組みを持っている信託だからです。
遺言は、遺言する人が死んでしまったことで初めて効力が発生し、財産の承継が起きる仕組み。
遺言代用信託は、委託者の生前から財産管理がスタートし、委託者(財産管理などを任せる人)が死亡したときに受益者に承継が起こり、信託契約は存続する仕組み。
遺言は、人の死を原因として財産承継が起きて、それで終了です。
しかし、遺言代用信託は、委託者が死亡しても、信託契約は終了しません。
新しい受益者のもと、信託は続いていくのです。
ただ、通常の信託と違って、人の死を原因として信託の受益権の承継が起きることに着目すること、遺言と性質が似ているといえます。
だから、遺言代用信託という名称になっています。
遺言は、人が死亡した時点での財産承継の仕方を決めること。
遺言代用信託は、存命中に決めた財産管理の方法が、死亡した後も継続する仕組みのこと。
家族間の円満な財産承継という視点で考えたとき、遺言では実現し難いことでも、遺言代用信託を利用することによってスムーズに行うことができる可能性があるのです。
信託の中でも遺言代用信託は理解が難しい部類です。
例えば、アパートなどの賃貸不動産を上手に長女に承継したいと考えているご家族の場合。
当初の受益者を委託者である父親とする遺言代用信託を設定しておきます。
委託者がである父親が死亡したときに受益者が長女となるような遺言代用信託であればスムーズに賃貸不動産の承継が出来るのです。
遺言書で賃貸不動産の所有権を相続させるよりも確実な財産承継を行うことが出来るメリットがあるのです。
この【超簡単家族信託】シリーズでも今後何度も遺言代用信託に触れていきたいと思います。
超簡単家族信託】WEB講座シリーズ5回目のまとめ
遺言は、遺言者が亡くなったときに財産承継が起きて終了する。
遺言代用信託は、委託者(兼受益者)が亡くなったときに、受益者が交代し、信託は継続する。
次回、【超簡単家族信託】WEB講座シリーズ6回目は、「遺言代用信託」と「死因贈与契約」との違いについて考えます。