先日呼びかけた地域協働の集まりに参加してくださった方の中に、シニアの引きこもり問題に取り組まれていた方がいらっしゃった。
ひきこもりに至る様々な要因がある中で、
タクシーやバスといった交通手段さえ確保できれば状況は改善出来るのに
とおっしゃっていたのが未だに引っかかっています。
本当に、交通手段の問題なのだろうか?
自宅に引きこもるのって他にメンタル的な要因がないのだろうか?
そのときに正直に聞いてみたんですね。
それって、自宅に無料の送迎タクシーが来てくれれば解決する問題なんですか?
他に原因があるとか?
実際に現場で関わってる者の感覚としてそうなんだとおっしゃっていた。
僕の言ったことはあくまでなんとなくそう思っただけなので、その方の言っていることは正しい。
同じような現場感覚を抱いている人はきっといるに違いない。
そう思って調べてみました。
シニア層が「でかけなくなる」理由
シニア層・高齢者層が引きこもってしまう、ということが社会問題になっている。
一時期ほど派手に取り上げられているわけではないがじわじわと、大きな社会問題になることは想像に難くない。そこで浮かび上がる、私たちが「引きこもる」と見ていた姿は「出かける理由がない」「出かけるのが面倒」「出かけるのが怖い」
というものだった。
出かけるのが面倒
75歳過ぎたあたりからこのセリフが出る。
その原因は、体の不調だ。杖をつかなければいけない。
皆の歩調に合わせられない。
人込みが苦手。
今日歩くと明日疲れて何もできなくなってしまう。出かけることが嫌いではないので体に負担をかけない状態(行き返りタクシー、もしくは、送ってくれる人がいる)であれば出かけることも多い。
Eさんは、イベントの時にはタクシーを飛ばして必ず参加する。だが、日常的に出かけるのは「面倒」なので、出ないようにしているそうだ。
調査の結果、
「出かける理由がない」
「出かけるのが面倒」
「出かけるのが怖い」
に分かれるのであれば、それを解消してあげれば引きこもりが解決する。
「出かけるのが面倒」問題
これについては上でみたように、移動手段さえ確保できればある程度、というか、かなり問題は解決しそうだ。
身体に負担をかけずに移動することができればいい。
といっても、一度の外出に多額の費用がかかるのではハードルが高い。
財布にも負担を掛けずに移動手段を確保できるのであれば、出かける回数はグンと増えるかもしれない。
「出かける理由がない」問題
これを解決するには、外に出るとやっぱり楽しいよ、って思って(思い出して?)もらうのが大切なのかなって思う。
そんな中で男女差からアプローチされている方のサイトが興味深かったので紹介したい。
どうすれば家にこもりがちな主人を外に出せるか? | 村田裕之の団塊・シニアビジネス・高齢社会の未来が学べるブログ
退職したシニア男性にはこうした「ひきこもり」がちな人が多いようだ。
これに対して、シニア女性は男性に比べて外出意欲が旺盛で活動的に見える。
確かに、休日の銀座を歩いてみても、シニア女性同士のグループは多く見かけるが、男性同士ってことはまずない。
男性同士でショッピングもしないし、一緒にランチといったことでもないからだろうか。
シニア男性の「外出する目的」に重要なことは何か?
かつて、電通が中高年のレポートを発表した際、「男はコレクション、女はコネクション」というコピーをつけた。
これは言い得て妙である。
女性は一般に、友人・知人とのつながりを好むということ。
余った時間があれば、友人とカフェでおしゃべりしたり、一緒に旅行したり、他人とのコミュニケーションそのものを楽しむ傾向が強いということだ。
これに対して、男性は一般に、自分の嗜好性の強いものにこだわる傾向が強いということ。
プラモデル、鉄道、カメラ、つりなど、一人でできること、一人でやりたいことをやりたがる。
男性の場合は、そもそも連れ立って何かをするというのが苦手が人も多い。
仕事をしていて多くのシニア層をお話しをする機会がありますが、やはり感じるのは女性よりも孤独に走りがちなこと。
自分一人でなんでもやってみようという傾向が強い。
対して、女性の場合には”お友達に意見を聞いてから”、”お友達と一緒だったら”といったことが珍しくない。
分からないことでも”誰かと一緒だったら安心”といった感覚もあるのかもしれません。
また、女性の場合のほうが趣味を見つけるのが上手。
「出かける理由がない」問題は、女性にはあまり問題ではないが、男性にとっては大問題といった結論で間違いなさそうです。
「出かけるのが怖い」問題
本当はお出かけしたいけれど、外出先で急病で倒れたり、持病によって家族に迷惑を掛けたくないという心理。
身近に家族がいればその人と一緒に外出する。
そうでなければ、その不安をサポートしてくれそうな人と外出する。
とはいっても、せっかく外出したんだから気兼ね無くお話しできる仲間と楽しみたい。
病気になったときだけの安心のための人とお出かけしたところで本当に楽しくできるのかという問題もある。
普段から交流を持っているシニアサークルや老人会といったコミュニティがあれば、その人員も確保できるかもしれない。
でも、そう出来ないからこそ、「引きこもり」になっているわけであって。
3つの問題の中でも、この「出かけるのが怖い問題」の対策がもっとも難しいと思った。
一人じゃなく誰かと出かけるなら、楽しく過ごせる仲間のほうがいい。
気のあった仲間を見つけるためには、どうしたらいいのだろう。
元々、社交的な人であればそういった仲間もいるし、引きこもりなんてことにならないし。
出かけるの理由があって、負担なく外出ができ、外出先でのサポート体制も十分。
そうなると、やはりサポートしてくれるような団体の支援が必要になる。
キッカケさえ作ってあげれば外出への意欲も湧くし、ハードルも下がる。
そう、外に出れば空気もおいしいし、まぶしすぎる太陽、楽しい仲間とのおしゃべりもあるし、美味しいご飯。
楽しいことがたくさんある。
”楽しい”を実現するために活動している団体について、どうすればもっとうまくいくのかを考えてみたい。