ビッグイシューをついに買った!
買おう買おうと思って、何度買わないで通り過ぎてきたか。
ぼくが今までビッグイシューを路上で買わなかった理由をここに明らかにしたい。
その目的は少しでも多くの方に路上で買ってもらいたいから。
なにか分からないけど近寄りがたかった。
知っている人もいるかもしれないけど、ビッグイシューの販売者は行動規範を守るようになっている。
割り当てられた場所で販売します。ビッグイシューのIDカードを提示して販売します。
ビッグイシューの販売者として働いている期間中、攻撃的または脅迫的な態度や言葉は使いません。
酒や薬物の影響を受けたまま、『ビッグイシュー日本版』を売りません。
他の市民の邪魔や通行を妨害しません。 このため、特に道路上では割り当て場所の周辺を随時移動し販売します。
街頭で生活費を稼ぐほかの人々と売り場について争いません。
ビッグイシューのIDカードをつけて『ビッグイシュー日本版』の販売中に金品などの無心をしません。
どのような状況であろうと、 ビッグイシューとその販売者の信頼を落とすような行為はしません。
こういった行動規範を事前に知っていたぼくでも、なんとなく販売者の方から直接買うのは憚られた。
現実問題として、普通に生活をしているとぼくらがホームレスの方とかかわる機会はほとんどない。
ほとんど、というかゼロだ。
それが書籍の購入という一瞬のかかわりでも、なんとなく身体が引けてしまう。
情けない。
キレイじゃないかもしれないと思っていた。
ホームレス以外の方からホームレスの方に物などを渡すことはあっても、
ホームレスの方からホームレス以外の方が何かを貰ったりすることはない。
それぐらい、ぼくらはホームレスの方から何かを受け取ることに慣れていない。
慣れていないし、受け渡しの場面でちょっとした感情が沸き起こってしまう。
というか、そう思ってしまうんじゃないかと想像していた。
ホームレス状態といっても、もしかしたら、路上で生活をしている人もいるかもしれない。
その方から商品を買うということは、やっぱりあまりキレイなものじゃないかもしれない。
そう思っていた。
支援が目的なんだから内容は大したことはないと思っていた。
定価350円の雑誌『ビッグイシュー日本版』をホームレスである販売者が路上で売り、180円が彼らの収入になります。
価格が高いほど高尚な記事が載っているわけではないけれど、なんとなく頭の中で引き算をしてしまっていて。
その程度の雑誌なら大したことも書いてないだろう。
350円なら他の雑誌にするよ。
そんなことも思っていた。
でも、これらが全部思い違いだっていうことを初めて買った昨日分かりました。
近寄りがたくなんかないし、商品は普通にキレイだし、内容はとても充実していた。
ぼくが購入したのは東京都港区にあるJR新橋駅銀座口を出たところに構える販売者さん。
新刊号を持った手を高々と挙げているので、とても買いやすかった。
ただ、座って待っていられるより、
「それ、ください!」のひと言が出やすい。
考えてみると、本を持った手をずっと挙げているのってかなり疲れるんじゃなかろうか?
ぼくが買った265号は、ひつじのショーンが表紙。
清潔感のある身なりをされていた販売者さんが、プラスチック製のバインダーからビニール袋に入れられた本誌を取り出してくれました。
もう一回言うけど、ビニール袋に入れられた雑誌が渡されるんですよ。
これは、ぼくが勇気が出ずにいた二番目の理由を慮ってのことかなあ。
販売者さんはとっても気さくな方でちょっと立ち話をさせてもらいました。
営業のおじゃまになってしまったかもしれない。
バックナンバーのラインナップも見せてもらったんですが、キレイにバインダーに整理されていました。
一日に何冊ぐらい売れるんですか?って聞いてみました。
やっぱり気になる。
一日の生活費がビッグイシューの販売で成り立っていけるのだろうか。
「最低記録だけは忘れないね」
と、にこやかにおっしゃっていたんですが、一日で三冊のときがあったそうです。
でも、最高は50冊以上売れたこともあったらしいですよ。
販売者さんが好きなコラムは、浜矩子さんの連載「ストリート・エコノミクス」だそうです。
私、教えられるまで浜矩子さん知りませんでした。
「読み続けていると政治のことが分かるようになるんです」と。
これも何かの縁なので、浜矩子の新国富論を図書館に予約しました。
薄いように感じるかもしれませんが、余計な広告を排したページ構成はとてもスッキリしているし上質な感じがします。
ぼくのような理由で路上販売者から購入するのを躊躇されている方がこのエントリーを見たことがキッカケで、最初の「ください!」が言えたらいいなあ。
ぼくも嬉しいし、何より販売者さんもうれしいし、買ったあなたもきっとうれしい。