といっても、行政書士としてのことではありません。
私の前職、前職?!
大学卒業→デパート→某司法書士事務所→アルバイト→某司法書士兼行政書士事務所→行政書士開業
なので、前前前前職ですねえ。感慨深い。
今となってはなぜあの会社に決めたのか?、もっと言うとなぜ高専卒でそのまま就職しなかった謎多き人生wですが、まあとにかく過去は変えることが出来ないので今頑張っているわけでして。
デパート勤務時代の話ですね。
バックヤードに売上のグラフがありまして。当時のスタッフは20人弱だったかなあ。新入社員の頃は全く気にすることもないのですが、年次が上がるにつれ売上がないとそのグラフを見るのが辛くなってくるわけ。
そのうち見ないフリをしたり、グラフが増えない原因を他のせいにしたりする。
売上に直接関係のない仕事、例えばDM書きを一生懸命にやっているとか、他のスタッフが使いやすいようにレンズ拭きの布をキレイに並べて置くとか。
今なら分かりますよ、それが売上にちっとも役立たない無駄作業だということは。
4年と3ヶ月でその職を辞めたのですが、一時、意識して月間売上トップになろうと思った時期がありまして。
思ったとおりトップになれた時に取り組んだことを書いてみようと思っています。
デパート内にあるテナント。
大原則としてテナントエリア内に入ってきたお客様だけが販売対象です。販売職に一度でも就いたことがある方は分かりますよね。
常時、売り場に立っているスタッフが5人とすると、その5人で一人のお客さんを奪い合うわけです。
奪い合いのルールは、それぞれの職場によって違うのだろうけど、当時は”先に声をかけたスタッフがそのお客さんの担当”という暗黙のルールがありました。どこのショップでもそうですか?他に販売職を経験したことがないので分かりません。
ということは、スタッフ間で”いらっしゃいませ合戦”になるわけです。
だって、先に一声掛ければ、そのお客さんの担当になる訳ですから。
嫌ですよー、この雰囲気。
ギラギラしてますからね。
そういうのってお客さんに伝わりますから、ホント。
自分だって何か買いに行ったとき、いらっしゃいませ合戦をされたら嫌でしょう。
商品に魅力がない限り、すぐに売り場から離れるでしょう。
そんな売り場はちょっと違うのじゃないかと思っていて、僕はいらっしゃいませ合戦に参加しないことを選びました。
面白いんですよね。
「いらっしゃいませ」と言わず、いらっしゃいませと一番手から離れた位置にいる私にですね、「私に似合うメガネはないかしら?」と来るわけです。
販売職から離れ、一顧客に戻った今ならその気持ちも分かります。
せっかく高いものを買いに来たのだから、良いものを選んでくれそうな店員さんにサポートしてもらいたい、自分だったらそう思います。
客にとっては、先に声を掛けようがそんなのカンケーない
この当たり前の事実に、販売の現役時代に気づいたワタシ偉い。
何が偉いって、声を掛けないのが偉いんじゃなくて。
「ワタシに似合うメガネある?」
と訊かれて
初手で最善手を繰り出すこと。
これが偉い。
初手が大事なんだよね。
何度も試して、この大きさは似合わない、この形もちょっと違う、なんてやっているうちにお客さんも嫌んなってくるわけですよ。
”ワタシに似合うメガネはないのかなあ”
”メガネが似合う顔じゃないのかなあ”
なんて考えなくてもいい考えをアタマに巡らせたらダメ。
なので「初手」で似合うものを提案する。
女性だったら分かるんじゃなないかな。
「この商品いかがですか?」
なんて言いながら、軽く身体に当てがわれたとき。
まーーったく違うテイストの商品を持ってこられたら、”アンタ何も分かっちゃいないのねえ”って思いません?
同じ、「この商品いかがですか?」でも、
”おおおおお!それ探しに来たの!!”
ぐらいのモノを初手で持って来てこられたら否定できないじゃないですか?
”絶対この店では買わない、勧められても今日は見るだけ”の強い気持ちでショップに入ったとしても嬉しいですよね。
嬉しくないわけないんですよ、コレって。
だーって、みんな自分を分かってくれたら嬉しいでしょう。
”あなたってこうなんですね!!”
って理解してくれたら嬉しいに決まってるんです。
ファッション関連のアイテムなんて、自分で自分のことが分からないなんて普通なんだから。
それが、プロ目線で「あなたにはコレが似合う」と言って出された商品があなた好みだったら、”どうしてワタシの好みが分かったの??”ということで、お客さんのハートをガッチリつかめるわけ。
お客さんからしたら、どのスタッフが最初にいらっしゃいませと言ったかなんて全く気にしていません。雑音だから。
だけどね、商品を見てる間でも、見てる。ホントによく見てる。
どのスタッフに声を掛けるべきか?
私たちがお買い物に行くときもそうですよね。
電気モノだったら、それに詳しそうな、本当にそうかは分からないけれども感覚で選ぶじゃないですか?
お洋服なら、オシャレに気を遣っていて、かつ着こなしが素敵なスタッフのほうがいいでしょう?
見てるんですよ。
初手で最善手を繰り出すためにお客さんをよーく観察していました。
どの商品を眺めているかもそうですが、お客さんの年齢層、生活レベル、商品に対する考え方を観察しました。
今でいうプロファイリングってものに似ていますね。
そして、”この店員さんなら詳しそう、この店員さんなら大丈夫そう”
と思われるように立ち居振る舞いに気をつけました。
”このお客さんはどの商品を見てるか?”
でしか当たりをつけることをしない普通のスタッフに比べたら、観察レベルも観察されるレベルも違うので、一歩前に出ることが出来るわけです。いらっしゃいませ合戦で出遅れても。
誰に相談したわけでもない独自の作戦のおかげで結果的に単月で売上トップになることが出来ました。
特に販売職経験者ならここで疑問が起きると思います。
いらっしゃいませ合戦の勝利者から文句を言われないのか?
暗黙の了解、怖いですね。
いらっしゃいませと最初に声を掛けたスタッフのものになるわけです、そのお客さんの売上は。
聞きますよ、当然。ワタシ、年次が若いから。
「◯◯さん、あちらのお客様、作られるようですよ。」
つまり、「売上どうする?」と聞いてるわけです。最初にいらっしゃいませって言葉を発しただけの先輩だけれども、コレ自分の売上にするのどうするの?、と。
そうするとね、大抵は、「阿部くん、やっちゃっていいよ」と言います。
切羽詰まっている人は言わない笑
でも、大抵は言う。
なぜかというと、お客さんからワタシに声を掛けてきたから。
お客さんが選んだから仕方ない、阿部くんの売上でいいよ。
当然かも知れないけれども、暗黙のルール、掟破りはどの世界でも怖いことでしょう。
なので、最初はビクビクだったけれども、お客さんが言うだからしょうがないよな、と思うようになった。
ちょうどこの頃じゃないかな、”マダムキラー”とスタッフの間で呼ばれるようになったのは。
そのうちね。
暗黙のルールがあるにも関わらず、マダムが店舗に入ってくると、「阿部くん、行っていいよ」(←声かけてきていいよの意味)を言われるようになり、”いらっしゃいませ合戦”さえ起こらないようになってきた。
無益な「戦」が起こらない社会はどこでも住みやすい。
職場も一つの社会。
マダム来店、という限定的な機会ではあるけれども、戦を根絶したワタシは素晴らしい笑
参考になったかなあ。
単なる与太話ではないんだよね。
どうやって顧客から選んでもらうかのハナシだから。
ビジネスにも参考になると思うよ。
解決支援コンサルタント野獣系行政書士阿部隆昭