目の前にいる人は全部カボチャだと思え!
そう私たちは教わってきました。
人間は私一人、あとはカボチャ。
だから緊張する訳がない。
先日、東京都北区の主催で講演をさせて頂きました。
テーマは遺言書について。
得意分野であるとはいえ、大きなホールで60人もの人を目の前にお話するのは緊張するかなと思っていました。
ところが、始まってみると全く緊張感は私にはやって来なかったのです。
なぜか?
小学校の校長先生は朝礼のときに緊張しているとは、とても思えない。
自由にゆったりと子どもたちを諭すように穏やかに話しかける。
でも、親御さんを前にするときには少しだけトーンが変わるような気がする。
どうしてだろう?
自分が相手にどう思われているか?
これを気にすると途端に緊張感に包まれることになる。
60人全員から自分への評価がされているとなると、それは緊張する。
ちょっとした動きや言葉使いにも神経質になるだろうし、心の平穏など保っていられるわけがない。
「自分が相手にどう思われているか?」
「自分が相手に何を伝えたいのか?」
この二つの『心のバランス』は合わせて100%になるようになっています、おそらく。
「どう思われているか?」 80%
「何を伝えたいのか?」 50%、はありえない。
「どう思われているか?」80%であるなら、「何を伝えたいのか?」は20%に減じているはず。
「自分がどう思われているか」が100%になってしまったとき、緊張感が最大となり、同時に相手に伝えないことも何一つ伝えられないことになる。
校長先生は、全力で子どもたちにお話しを聞いて欲しいと思って話す。
子どもたちからどう思われているだろう?!、なんてことを思いながら話しているわけがない。
「相手に何を伝えたいのか?」が100%の状態になっているはず。
でも、親御さんを目の前にするときは、多少、「見られている」感はあるかもしれません。
この時は、「どう思われているか?」が20%ぐらいになり、同時に「何を伝えたいのか?」が80%ぐらいになっている。
だから、子どもたちの前で話すのとはちょっとだけ違ったトーンになる。
私がなぜ緊張しなかったのか?
これらを考えたときに答えがハッキリと見えました。
そう、「自分が相手に何を伝えたいのか?」が100%になっていた。
心のバランスとして、「自分が相手にどう思われているか?」が0%。
緊張感が入り込む余地がなかった。
だから、自分は参加者のほうだけを向いていた。
講演時間は19時から21時までの二時間。
参加者にとっての貴重な二時間を頂くわけです。
本人にとってためになる話、家族の幸せにとって大切な知識、二時間で目一杯持って帰ってもらいたい。
それしか考えていませんでした。
だから全く緊張することがなかった。
目の前の人をカボチャだと思え。
正しいとは思えないけど、考えようによっては間違ってはいない。
目の前のカボチャには何を伝えようとも思えない、という点では正しいと思えない。
目の前にいるのは人間でさえないのだから、どうも思われていない、という点では間違っていない。
人前で緊張せずに話すためのたった一つの方法
それは
自分が相手に何を伝えたいのか?の気持ちを100%にすること
これしかありません。
100%になったとき、同時に緊張感も消えているはずです。
なぜなら、緊張感を生み出す要素である「自分が相手からどう思われているか?」が0%になっているから。
プレゼンでも、面接でも、自己紹介でもそう。
独り言ではない限り、人が言葉を発するときには対象となる人間が必ずいる。
取引先、面接官、他の参加者。
「自分が相手に何を伝えたいのか?」を100%の状態にしていれば、
プレゼンの時間も
面接の時間も
自己紹介の時間も
気がついたら終わっているはず。