クライアントワーク、という用語そのものはポピュラーなのかどうかわかりません。
WEB系のシステム開発会社が受託開発をする業務のことをクライアントワークと呼んだりすることが多いですよね。
弊所の取引先企業の経営者も「早くクライアントワークから脱したい」が口癖。
士業のような仕事も、総じてクライアントワークです。
”下請け”といった意味ではありませんが、都度都度、ご依頼者の存在がおり、業務の委託関係が発生しますので間違いなくクライアントワークです。
クライアントワークは反射神経のスピードとキャパ勝負
クライアントワークを続けている限りは、常に反射神経を研ぎ澄まし、売上増のためには常にキャパ増を頭に入れておく必要があります。
ルーチンワークの程度にもよりますが、常に新しい”依頼”に”反射”で対応する必要があります。
この新しいことに対応し、それに相応しい業務をこなす事がクライアントワークのもっともツライところでしょう。
A案件、B案件、C案件、大くくりで言えば一つの仕事なのですが、全く同一という事が考えられないため、常に変化して対応する必要があります。
補助金申請でいえば、A社から広告費で補助金を活用したい、B社から機械設備を導入する補助金を申請したい、C社からは創業に関する補助金を検討している。。。
大くくりでいえば、全て補助金案件です。
ですが、業務の主体も対象経費の使い方も事業規模も事業スケジュールも同じではありません。
なので、そのご依頼に合わせて、常に検討し、アンサーを打ち出し、といった業務が発生します。
そこで考えるわけですよ、我々士業も。
業務効率化、といったら広い意味ではそうかもしれませんが、この”クライアントワーク”の作業量を減らす事は出来ないかと。
先ずはどうしたら良いと思いますか?
業務の共通項を見つけるわけですね。
A案件、B案件、C案件の共通項を見つける。
同じものは考えないものとして、違うものだけを検討する。
うーん、一見、正しい。
そして一つの答えはこうなります。
補助金テンプレートを作ればいいんだな!!
補助金のテンプレ。
補助金申請をする事業者にとっても魅力的に写りますよね。
テンプレに入力するだけで採択レベルの申請書が出来上がるのですから。
補助金申請を支援する側はもっと魅力的です。
クライアントワークから脱したい!という夢の実現です。
一旦、補助金テンプレートをパッケージとして売り出してしまえば、もうA社、B社、C社の違いについて反射的に対応する必要もありません。
完成した申請書ドラフトチェックを依頼して、そのフィードバックをいただき、さらに微修正、といったクライアントとの”やり取り”からも全解放されます。
補助金テンプレートというパッケージが一人歩きして稼ぐのですから、請求管理などのバックオフィス業務が残るだけですね。
これは楽。
業務としてマーケティング調査を行う場合以外は、あまり他の同業者の調査などはしません。
なので、補助金申請のテンプレートがパッケージ商品として世の中にあるかどうかも分かりません。
クライアントワークからの脱出を考えるなら、そこに行き着くだろうなあと想像しただけです。
ですが、このテンプレート。
理論的に上手く目的を達成する事が難しいです。
最強にピッタリとハマるのは、このテンプレートです。
使ったことがない方も多いかもしれませんが、平面図などを書くときにこれに当てはめて線を引けばキレイに引ける。
これが、テンプレートです。
ビジネス書のテンプレート、挨拶文のテンプレート、弔辞のテンプレート、世の中に文書もののテンプレートは無限にあります。
そのどれもが、図面のテンプレートのように何も考えずに使える、といったものではありません。
当事者の名前、日付、出来事、時系列、NGワード、諸所修正対応が必須ですよね。
補助金申請の場合には、そのアレンジの幅が広く、そして深い。
テンプレがもっとも馴染みにくい世界なのです。
逆にいえば、個別対応の度合いが極端に高い。
したがって、クライアントワークが必須の業種なんですよね。
そりゃ、補助金テンプレートといったものがもしもあって、精度がクライアントワークの完成度を格段に凌ぐほどのものであるならばそれは凄いですね。
だけれども、構造的にあり得ない。
要するに、クライアントワークに徹しなければならない業種もあるんですよね。
さて、クライアントワークが避けられないとしたらどうしようか。
クライアントそれぞれの違いにスピード感を持って対応する仕事。
これはもう楽しむしかないですよね。
仕事は楽しい。
という前提に立って、仕事を進めるほうが健康的です、うすうすそうじゃないと感じていても笑
人間の悩みの100%は対人関係だとすると、クライアントワークには必ず、対相手の側面がありますよね。
ロボットが自動発注するわけではありませんし。
小規模事業者であれば経営者自身、中規模であれば窓口になる直接の担当者さんやその上席の方。
対、人、です。
一般論の話をしても意味がないので、当職がどのようにクライアントワークを楽しんでいるかの一例を。
クライアントのWHYを聞き出して、共感する
実際にそうしています。
もちろん、業務としてWHYが必要になるので、業務を楽しむ目的のためだけにWHYを聞き出しているのではないですよ。
なぜその事業に取り組むのか?
なぜ今その事業をするのか?
なぜ経営者になったのか?
なぜ自社強みとして●●を打ち出したのか?
事業の根幹部分のWHYを教えてもらうのはとても楽しい。
そうなんですね!
なるほどなるほど。
WHYに共感するからクライアントワークを頑張ろう、というのは正確ではなく、WHYがどうあれご依頼の業務には誠実に取り組みます。
それは変わりません。
が、やっぱり、人はココロが動くと、行動するんですよね。
この場合は、自らココロを動かしにいく、といったイメージかな。
クライアントワークから脱したい
これは新サービスを創り出す原動力の一つになるのはそうですが、クライアントワークを楽しもうと思うと、それは楽しくなってきますよ。
いろいろなアイデアが浮かんできましね。
もちろん、クライアントワークのままでいい、というものとは全く別ですけどね。
反射→対応→反射のクライアントワークのループを抜け出すのではなく、楽しむ。そのためにはクライアントのWHYに着目する。
場合によっては、仕事を超えた関係性に発展することもありますからね。
人の悩みの100%は対人関係ですが、幸せも対人関係から生まれることは確か。
サービス、パッケージシステムは、人ではないですからねえ。
クライアントワークは幸せの源泉に触れている、といっても間違いじゃなさそうですね。
さてさて本日も、クライアントワークに勤しみますか。
行政書士阿部隆昭