一般社団法人物々交換局が運営する「おむすび通貨」事業をご存知でしょうか?
私は知りませんでした。
定期購読をしているトヨタ財団広報誌「ジョイント」NO. 16に2011年度の地域社会プログラムの一つとして紹介されています。
おむすび通貨とは、愛知県豊田市の一部地域だけで通用する地域通貨のこと。
お米を価値にしている点は面白いですね。
1単位が、「大きなおむすび一個分のお米」に設定されていて、「1おむすび」が50円なのだそうです。
貯蓄機能を制限する意味で有効期間が設定されており、期間内は地域の提携店で物と交換し、期間後は地元のお米に交換される。
こういった循環によって、農商工連携と地産地消が実現されるとのこと。
地域通貨に似ている取り組みって結構あるような気がします。
例えば、地域の商店街を盛り上げようと考えたとき、その商店街だけで通用する券を発行し、現金で購入してもらう。
商店街にはお金が落ちますし、消費者にとってはプレミアムのついている券によってより多くの商品を手に入れることができる。
でも、これがうまくいかない。
なぜかというと、そもそも商店街で商品を買わないから。
500円分買える券を400円で購入したところで、同じ商品をスーパーならより安く買うことができるし、品揃えだって段違い。
結局、そういった「券」は広く一般の方に購入してもらえずに、商店街の関係者の中だけでまわすようになってしまう。
おむすび通貨の場合は、提携店で使わなかった場合、最終的には米として返ってくる(地域の米と交換になる)ので買う方としても安心して買える。
だって、コンビニのおにぎりだって、安くても1個100円以上しますでしょ。
おむすび通貨は50円で大きなおむすび1個分のお米ですもん、お得ですよね。
地域が潤うことを目的にしても、自分が同時に潤わないとボランティアになってしまう。
おむすび通貨の担保米は、物々交換局によって農家から適正価格で買い取られます。農家が農業を続けるための収入を得ることができる適正価格は、平均農家卸価格よりも高くなります。しかし、おむすび通貨の値段をお米の値段として考えると、そのお米の値段はスーパーで売られている同等のお米とほぼ同じです。適正価格で仕入れても、平均的な価格で販売できるのは、スポンサー企業から紙幣広告を募り、農家から直接仕入れを行っているためです。
これだったら、地域の農業を助けてあげるっていう気持ちにならないからいい。
お米はかならず食べるものですしね。
おむすび通貨事業が素晴らしいのは、これだけじゃありません。
小学生が参加できる「こどもの夢の商店街」の通貨として利用されていること。
夢の商店街は、子供たちが「お店屋さんごっこ」や「オシゴトごっこ」に参加して、本物の商店街で使えるおむすび通貨を手に入れながら、しごとや買い物を体験する場所です。
子供の発想で大人の仕事をやらせてみることで自主性を引き出し、子供たちはその経験から自分に自信を持てるようになります。
当日はたくさんの子供のお店が商店街アーケードに並び、ハローワーク,警察署,放送局,清掃局など、さまざまな職業体験所が開設されます。
子どものお店から商品を買う場合には、「おむすび通貨」で支払います。
③お店を考える
販売用の値札やPOPを作成してお店をどんな風にするか考えてください。お店の名前は必ず掲示してください。価格は○○むすびとして表示し、自由に値段設定してください。
(1むすび=50円=おむすび1個分相当)
お店屋さんごっこのルール
● 幅100cm奥行き130cm程度がお店のスペースです(会場によって若干異なります)。
そこに収まる箱や台を準備して商品を陳列して下さい。
● お店の名前を必ず表示して下さい。
● 床マットや折りたたみイスなどをお持ちください。
● 当日の売り買いはすべて“おむすび通貨”で行います。
● 価格は“むすび”で表示してください。
(1むすび=50円相当)
● 売るものは、食べもの・飲みものは不可。
それ以外であれば自由に考えてください。
● お店で出てしまったゴミは、各自持ち帰ってください。
とっても楽しいだろうし、お金の流れも実感できるし、地域の振興にもなるし、ホント素晴らしい。
トヨタ財団の助成を受けた提携店勧誘によって、提携店は愛知県豊田市を中心に300店舗ほど。
そして、提携店とおむすび通貨の流通量を増やす原動力になっているのが、この子供の夢の商店街イベント。
小学生のお店で買い物をするために多くの大人がおむすび通貨を買っているのだそうです。
通貨の実用性はまだ低いようですが、地域再生の一つの形として期待できますね。