夫:A
妻:B
同い年のAB夫婦間には子がおりません。
また、A、Bそれぞれに兄弟姉妹もおらず、親も他界。
つまり、Aの相続人はB、Bの相続人はAという関係にあるとします。
その場合、
Aの任意後見契約の受任者をB
Bの任意後見契約の受任者をA
とする任意後見契約を相互に締結する場合があります。
お互いの判断能力が無くなったときには、片一方が面倒をみようね、といった趣旨なのですが、注意しなければならない点があります。
それは、
Aが判断能力が無くなりつつある時期は、同時にBの判断能力も衰えている可能性がある。
前提としては、Aさん、Bさんは同い年。
年齢が近い夫婦でも同じリスクを抱えています。
本来であれば、Aさんの判断能力が衰えたときに、他の誰かではなくBさんに支えてほしいからこそBを任意後見契約受任者として契約をしたのでした。
そのときに、実は、Bさんも判断能力が衰えていたとしたらどうでしょう。
Aさんとしては、Bさんに面倒をみて欲しい。
しかし、BさんはAさんの面倒をみれる状況ではない、むしろ、自分が面倒をみてほしい。
この状況って、今話題になっているアレと同じなんです。
そう!
認認介護
認知症の人が、認知症の人を介護する状況
こうなってしまうと、本人の権利保護を図る場合には、法定後見の申立を相互にする他ありません。
先ほどのA、Bにしてもそうです。
相互に任意後見契約をすることは可能です。
が、しかし。
お互いの判断能力が衰えたときの備えも同時にしておかなければなりません。
せっかく任意後見契約をして備えをしたのに、結局使い物にならなかったのではAさんもBさんも本意ではないでしょう。
上手に使えばかなり使える任意後見契約ですが、制度そのものの理解が危うい人がアレンジしてしまうと思わぬ結果を引き起こすことになります。
行政書士阿部総合事務所は任意後見契約の実績も多数持っております。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭