サーフィンの最中、サメに襲われ命を落とした息子を追ってハワイにやってきたサチ。
そこで知り合った息子と同世代の日本人二人組。
日本に帰って八ヶ月後、東京の街で偶然そのうちの一人に会う。
「あそこにいる子は恋人?」
「ええ、ていうか、まだ今のところ発展途上なんですけど。なんかいいアドバイスってありません? うまくこう、彼女とのあいだをぐっと発展させるための」
つぎのサチのセリフがいい。
女の子とうまくやる方法は三つしかない。
ひとつ、相手の話しを黙って聞いてやること。
ふたつ、着ている洋服をほめること。
三つ、できるだけおいしいものを食べさせること。
簡単でしょ。
それだけやって駄目なら、とりあえずあきらめた方がいい
確かに簡単。
上手に相槌を打ちながら、洋服を褒め、そして美味しいレストランへ。
簡単なんだけど、つい難しい方をいつのまにか僕らは選んでしまって、結果失敗する。
考えてみれば、黙って相手の話しを聴くのって難しい。
沈黙に耐えられるだけの度胸がいる。
洋服をほめるのだって、慣れていないとそもそも語彙が浮かばない。
簡単なのは唯一、美味しいものを食べさせること。
それにしたってなあ、雰囲気が良くなかったら美味しいものだって不味く感じることだってある。
いや、そんなこと気にしないぐらい超絶美味しいものを食べさせればいいんだな。
そうそう、簡単なようでいて、この三つをちゃんとやるのは結構大変なんだ。
それだけやって、ダメなら、うん。
たしかに諦めたほうが良さそうだ。
でも、諦められずに四つ目の方法を探しちゃうんだよね、きっと。