お客様から質問がありましたので調べてみました。
質問
1.差し押さえの登記が甲区に入った後は、甲区について何ら登記をすることができないのか?
2.差し押さえ後に数名の抵当権者で順位変更をした場合に、配当はどうなるのか?
質問者は、一部上場企業の財務部門の方です。いずれについても即答はしたのですが、上席にあげる都合上、明文になったものが欲しいとの事でした。
1の回答
民事執行法第46条の判例にピッタリのものがありました。
相対的処分禁止
競売申立ての登記〔差押えの登記に相当〕後の不動産の処分は、競売申立人および競落人に対抗することができないのみであって、絶対無効ではないから、競売申立ての登記後であっても、競売不動産の処分に関する適法な登記の申請があるときは、これを却下することはできない。〔旧法関係〕(大決大4・12・14民録21-2106)
これについては良くあるハナシの部類ですね。売買よる所有権移転の直前に登記関係に異常がないか(把握している登記簿に変更がないかどうか)について司法書士は確認するのが通常ですが、それを怠って登記申請をした場合に、登記が完了してみたらビックリというケースは何度が聞いたことがあります。
所有権の登記の前に、前所有者を相手にした差し押さえが入ってしまうと、差し押さえが取り下げられない限り所有権は取得できません。いきおい、差し押さえ債権者に、なんとか取り下げをしてもらうべくお願いすることになるのですが、文字通りの「後の祭り」ですね。
2の回答
民事執行法第85条(配当表の作成)
執行裁判所は、配当期日において、第87条第1項各号に掲げる各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を定める。ただし、配当の順位及び額については、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合は、この限りでない。
念のため、裁判所の配当係に一般的な質問ということで確認したところ、配当期日までに抵当権者間で順位変更をした場合には、その変更後の順位に従って配当表が作成されるとの事です。
これとは全く別のハナシになるのですが、民事執行法第85条1項但書の「合意配当」については滅多に事例がないそうです。
配当期日に債権者が裁判所に出頭して合意をしているなんて、ちょっと想像できませんもんね。
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