公正証書遺言にまつわるインターネット上の記事を多く見かけるようになりました。
「終活」ブームの影響もあってか、様々な立場の方が公正証書遺言のメリット・デメリットといったテーマで書かれています。
書類作成のプロではない一部の方には「ウワサ」レベルの記事もまことしやかに書かれていることがありますので、注意喚起の意味で二点ほど書いてみます。
・公正証書遺言だけが法的効力がある??
自筆証書遺言(専門家のサポートを受けずに、遺言をする人だけで書く遺言のこと)と公正証書遺言との比較の中で、公正証書遺言だけが法的効力があるかのような記事を見かける事が多い。
しかし、これは書き方として正しくないし、一般消費者に誤った理解をさせてしまうことになる。
当然ですが、民法が定める方式に従って書かれた遺言には法的効力があります。
それは、公正証書遺言でも、自筆証書遺言でも同じ。
「法的効力が欲しいのであれば公正証書遺言を作りましょう」といったアドバイスは、誤解を招くキッカケになるので止めたほうがいいですね。
・公正証書遺言だから無効にならない??
公正証書遺言だから無効にならない、だから自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作りましょう、という言い方も誤解を招くダメな表現。
元裁判官などの公証人が関与する公正証書遺言でも、遺言者の意思能力が否定され無効とされた例があります。
よって、公正証書遺言だから無効にならない、は誤り。
これも、ある立場の方が断定的に書かれてしまうと、一般の方が誤解をするので慎むべきでしょう。
自筆証書遺言が公正証書遺言と比較して無効になるケースが多いかもしれない、というのは遺言の型式に問題があるわけではありません。
この辺りも実際に遺言書の作成を業務として行っている行政書士や弁護士と、お勉強をした知識として単に知っているというのとでは、「肌感覚」が違うのです。
現場を知っている人間としたら、”公正証書遺言は無効にならない”とか、”公正証書遺言だけが法的効力がある”かのような発言は怖くでとても出来ない。
・まとめ
・「ウワサ」に惑わされないためには、その記事は誰が書いているのかをチェック!
専門家以外の書いた記事は、その記事の信ぴょう性を判断出来る方でしたら良いのですが、そうでない場合は誤った知識を広める「有害」記事になる可能性があります。
その記事は誰が書いたのか、本当にその分野の専門家がアドバイスとして書いたものなのかしっかりと見極めてください。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭