長男がいて、次男がいる。
父の事業を一緒に盛り立てた長男に比べたら、遠くはなれて住んでいて生前ロクに親の面倒なんてみなかった次男。
久々に実家に帰ったときに偶然発見した遺言書。
と思ったときに、次男のアタマに良からぬ考えが。
相続人の相続権を剥奪する制度として民法には、相続欠格があります。
相続欠格制度は法律上の要件に当てはまってしまえば当然に欠格です。
家庭裁判所に対しての申立なんて必要なし、いわば一発アウトです。
遺言書を隠してしまった次男は、残念ながら相続欠格事由に当てはまってしまいました。
もう父親の財産を相続することがありません。
とはいっても、このあたりは説の対立があったりもします。
最高裁の判断は、単に遺言書を隠すという故意だけじゃなく、もう一段の故意が必要。
隠匿行為者に遺産を自己に有利に帰属させる意思があって、つまり「二重の故意」があって初めて相続欠格に該当し相続権剥奪の効果が発生すると。
(最判平9・1・28民集51-1-184)
遺言書の破棄隠匿が、相続に関する不当な利益を目的としない場合は、相続欠格事由にあたらない。
第891条(相続人の欠格事由)
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者