賛否両論ありますが、マイナンバー制度導入により私たちの生活の利便性が向上するのは確かです。
その中でも、行方が注目されているのが、戸籍制度の関連性。
現状では、戸籍とマイナンバー制度とは関連していません。
Q1-6 マイナンバー(個人番号)が導入されると添付書類が不要になると言われていますが、住民票の写しや戸籍の添付が全て不要になるのですか?
A1-6 マイナンバーの導入により、平成29年1月から国の行政機関など、平成29年7月から地方公共団体で情報連携が始まり、社会保障や税、災害対策の手続で住民票の写しなどの添付が不要になります。
ただし、現時点でマイナンバーが使われるのは、法律や条例で定められる社会保障や税、災害対策の分野に限られるため、それ以外の分野の行政手続では、引き続き住民票の写しなどの添付が必要になります。
また、戸籍はマイナンバーの利用対象に入っていないため、番号の利用が始まった後も従来どおり提出していただく必要があります。(2014年6月回答)
内閣官房の公式サイトでも回答されているように、マイナンバー制度が始まったとしても戸籍の収集の手間がなくなる、といったことは当面ないようです。
当面といったのは、実は、戸籍とマイナンバーのヒモ付をしようという動きもあるようです。
戸籍事務を所管する法務省のWEBサイトに以下の記事がありました。
戸籍事務へのマイナンバー制度導入のためのシステムの在り方に係る調査・研究等に係る企画競争について
法務省民事局民事第一課(以下「主管課」という。)では,「世界最先端IT国家創造宣言」等の政府方針を踏まえ,戸籍事務へのマイナンバー
制度導入に関して検討を進めている。同検討を具体的に進めるためには,戸籍事務の制度面のみならず戸籍事務を処理するシステム面からの検討等を行うことが必要となることから,戸籍の制度面及びシステム面の両方に精通した専門的知識及び技能を有する者に,戸籍事務を処理するためのシステムの在り方等について,調査・研究等を委託する。
制度導入に際して具体的な検討段階に入っているということでしょう。
相続の場面でいえば、死亡した方の法律上の相続人(法定相続人)を確定するには、その人が出生してから死亡するまでの連続した戸籍謄本等が必要になります。
生まれてからずっと同じ本籍地の人でしたらまだ良いのですが、途中で転籍していたり、婚姻によって本籍地が変わっていたりする場合には都度その管轄の役所で戸籍謄本等を取得しなければなりません。
遠隔地の場合には郵送で取得することになるのですが、これが相当に手間のかかる作業です。
マイナンバーと戸籍とが関連付けされることにより、ある人のマイナンバーに関連する戸籍を一括して請求できる、といった未来になるのかもしれません。
何れにしろ、戸籍との関連付けが実際に動き出すにはまだまだ先のことでしょう。
注意深く見守っていきたいですね。
行政書士阿部総合事務所の代表行政書士阿部隆昭は、文藝春秋社の『週刊文春』による取材をたびたび受け、記事にもなっております。
その一部を掲載します。