慌てることはありません。
先に知っていさえすれば全然大丈夫です。
もしも突然近親者が亡くなってしまったとします。
交通事故などの不慮の事故の場合もありますし、闘病の末、といったこともあるでしょう。
思い違いされる方も多いのですが、病に伏して、ついに亡くなったときでも家族にとってみたら「突然」です。
”もうすぐかなあ”とは思っていても、想像したくない現実。
だから、どうあったって避けられない、でも確実に将来おきる出来事を頭から遠ざけるんですね。
闘病の末に死んでしまったからといって、”もう、準備万端でしょう?”、とはいきません。
むしろ、準備なんてしたくない。
まあ、そういったもろもろの事情で誰かが死んでしまったと。
真っ先にしなければいけないことは何でしょうか?
葬儀の手配?
そう、それも急ぎですね。
いつまで、という期間が決まっていますし。
お墓の準備や仏壇を買ったり。
そういったこととは別にして欲しいことがあります。
それは。
相続人探し
より専門的には「法定相続人を確定させる」などといいますが、亡くなった人の戸籍上の相続人が誰かを調べること。
単に、”あの人相続人っぽい”
なんていうのはダメです。
相続人が誰か?という問題はすべて戸籍上の相続人であることが必要です。
つまり、血がつながっている人で相続人らしい人がいても、戸籍上、亡くなった人と相続関係が明らかでなければその人は相続人ではありません。
これが、日本のルールです。
相続人を探すということは、「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍等」をすべて集めることによってなされます。
実際にどこかに行って何かをするのではなく、すべて書類上の手続きです。
※「戸籍等」と、「等」を入れたのは、一般にいう戸籍には、現在戸籍とか、除籍とか、原戸籍といったように法律の改正などによって呼び名が異なることを考慮してのことです。
亡くなった人の戸籍等を取得するには、ご存知のとおり、本籍がある役所の戸籍係で取得することになります。
東京都北区でいえば↓このような感じです。
本籍地が分からなくても(親の本籍地なんて分からないですよね、普通は)大丈夫。
住所地がわかれば、本籍地の記載のある住民票を取得することによって本籍が判明します。
本籍が分かったあとは、本籍地の役所に行くか、郵送で戸籍を取得します。
全国どこでも郵送で取得することが出来ますし、申請用紙は本籍地の役所のホームページからダウンロードすることが可能。
ただし、本人が取得する場合とちがって、相続人から戸籍を取得する場合には書類等が必要になる場合があるので事前に電話で相談するようにします。
亡くなった人の戸籍等が全て集まったら、その戸籍上で相続人にあたる人を判断します。
具体的な判断の方法はここでは割愛しますが、ちょっとでも不明な点があれば専門職に相談してみるとよいでしょう。
私はしたことがありませんが、役所の窓口でも答えてくれるかもしれません。
さて、なぜ相続人探しを真っ先にして欲しいかというと、それが全てのスタートになるからなんです。
遺産相続の話になれば、相続人全員で遺産分けの話し合いをしなければならない場合もあるでしょう。
よく言う、「遺産分割協議」っていうアレです。
遺産分割協議、その遺産分けの話し合いは、相続人全員としなければなりません。
もしも、自分が誰かの相続人だとしたら、自分の知らないところで決まってしまった遺産分けなんて認めたくないですよね。
遺産分割協議をしよう!と口火を切るのは、多くの場合、喪主(専門的には祭祀承継者)だったりします。
誰に対して、遺産分割協議しようって呼びかけるかというと、相続人全員なんです。
近くに住んでいる相続人、とかじゃあないんです。
だからこそ、真っ先に戸籍等を集めてその準備をしましょうということです。
さて。
ここで、ちょっとだけ枝分かれになっていまして。
相続に関することって、この枝分かれによって事情が全く異なる場合も多いので、文字に書き起こすのが難儀なのですが。
財産が全くない。
財産というのは、プラスの財産(預貯金とか)、マイナスの財産(借金など)が全くない場合、つまりその人が亡くなっても何ら承継の問題が起きない場合には、あえて戸籍上の相続人探しをしなくても済んでしまう場合もあるということです。
遺産分けをしようにも、そもそも分ける遺産がない、などといった場合です。
戸籍上の相続人が分かっている。
そんな場合にも、早急に戸籍謄本等を取得しなくてもよい場合もあります。
うちの母親が死んだときにも、戸籍を取得することはしませんでした。
なぜなら、法律上の相続人が誰なのかということは知っていたからです。