揉めないように揉めないように気を遣っていても、いとも簡単に揉めるのが「遺産分け」です。
私が前職で一部上場企業からお話を持ち込まれた案件は、ちょっとした感情のスレ違いからお互いに口も聞かなくなくなってしまって事例。
同じマンション、横並びの同じフロアに兄弟の部屋があるのですが、それは大変だったでしょう。
といっても、そもそもの始まりが感情のスレ違いなので、お一人の感情面を少しフォローしてあげただけで遺産分割協議を再開するという円満解決に繋がりました。
何が揉め事の原因になっているのかを丁寧に丁寧に解していくことで解決の糸口が見える瞬間があります。
とはいっても、揉め事が収まらない場合もママあります。
そのような時に利用したいのが裁判所の公的サービス。
多くの方が誤解していますが、裁判所はケンカの勝ち負けを決めるためだけに存在しているわけじゃあありません。
苛烈なケンカに発展しないように、仲裁に入ってくれるサービスも国民に提供しているのです。
例えば、遺産分割の場合ですと、
遺産分割調停や、遺産分割審判といった手続きです。
言葉ぐらいは聴いたことがある方もいるかもしれません。
遺産分割調停は、下記の説明のように、調停委員の方に仲直りを段取りしてもらう手続きになります。
被相続人が亡くなり,その遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができます。調停手続を利用する場合は,遺産分割調停事件として申し立てます。この調停は,相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てるものです。
調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,合意を目指し話合いが進められます。
なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,裁判官が,遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して,審判をすることになります。
費用もとても安いです。まさかの、被相続人1人につき収入印紙1200円分、です。被相続人というのは亡くなった人のことを言いますので、通常は一人だから1,200円の印紙だけで仲直りの手続きが開始します。
更に素晴らしいのは調停が不調に終わった場合にでも、自動的に遺産分割審判の手続きに移行すること。
私が前職で経験した遺産分割調停事件では、一年程度の期間を要し、ギリギリのところで調停がまとまり審判にならずに済みました。
これらの遺産分割調停や遺産分割審判も国民が無料で利用できるサービスではありますが、知っている人が本当に少ない。
利用する機会は一生に一度も無いかもしれませんが、自分が利用しなくても、
「お友達や親戚の方が遺産分けで揉めちゃって。。。」
という方がいらしたら、ぜひ教えてあげて下さい。
インターネットに弱いおばあちゃまでしたら、裁判所の電話番号も教えてあげてください。その裁判所が管轄裁判所ではない場合でも、家裁の方は概ね親切なのでその後に執るべき手続きを丁寧に教えてくださると思います。