創業支援関連の記事が多くなりましたが、遺言・相続関連業務は開業当初から地道に行なっておりまして。
このサイトの中にある記事のボリュームもおそらく「遺言」がもっとも多いかもしれません。
今年で業務経験20年目になりますが、当初から営んでいたので遺言書作成業務です。
それだけに様々なケース、遺言書で揉めるケースを見てきました。
揉める遺言書にはある一定のパターンがあります。
相続人の予想と乖離した内容の遺言書は揉める
なんだ、そんなことかと思うかもしれませんが、実際はそんなものです。
「相続人の予想」ってなんでしょうか?
なんだか分かりますか?
財産の範囲や額
これは相続人の方々もなんとなく把握しているのが普通です。
”お父さんの財産は自宅の土地と、持っているらしい株式、あとは預金が◯◯円ぐらいかな〜”
この財産の範囲や額に多少の変化があってもそれほど揉めることはありません。
なぜか?
気持ちの問題、お父さんが相続人に対する本当の気持ちの問題で決着をつけることができるからです。
しかし、どうしても納得できず、争いになりやすいのは、
相続人が想像していてい「人」が現れること。
これは揉めます、ハッキリと揉めますね。
人が現れる、というのは具体的に何を指すのかというと。
一つには、「婚外子」の存在。あるいは、「前婚の子」、もしくは「甥、姪などの法定相続人以外の人」
婚外子はなんとなく相続がつきますよね。これは相続人たちは驚きます。
前婚の子は、再婚だと知っていて、前婚時代にお子さんが居ることを知っていればそれほど揉めないこともある。
しかし、相続人が居ながらの、甥、姪に「遺贈する」旨の遺言書は揉めるケースが多いですね。
法定相続人が他に居るのに、なぜ甥、姪に相続財産を渡すのか?
甥、姪に相続財産を渡すということは、それだけ自分たちの取り分が少なくなることを意味します。
自分のものを理不尽な理由で奪っていく人々には厳しく当たるのが普通ですよね。
その感覚なんです。
甥、姪に遺贈する遺言書を残したのは、外でもないお父さんの意思なんだ、という事実を納得するのにとても時間がかかる。
中には、その遺言書は偽造なのではないか?、甥にそそのかされて書いたのではないか?、姪に強迫されて書いたのではないか?
恐ろしいですよね、人間。
普通にこのように思考するようになるのです、カネがかかっていると。
相続人どうし、親戚どうしで揉めないためには、相続人が薄々感じている内容の想像を外さない遺言書を書くことが必要です。
が、しかし。
遺言書は、遺言者(遺言を残す人)の最後の最後の意思表示です。
たとえ、その遺言書を見た相続人が揉めることが予想されたとしても、思ったことは書くべきだと私は思っていますし、そうご案内することもあります。
遺言書って難しいんですよね。
ご本人の意思を上手に汲み取り、法律的に間違いのない、亡くなった後の手続きでも支障が生じることがない遺言書を作り方の相談に乗らせていただいています。遺言書で解決できない問題は、他の手段の提案もさせていただき、総合的に相続のコンサルティングを行なっています。
解決支援コンサルタント行政書士阿部隆昭