実際に遺言書を書こうと思っている高齢者の方はこのブログを読んでいないと思います。
なので、”そろそろうちのお父さん、遺言書を作りそう”と思っているお子さんがそれとなくお父さんに伝えてくださいね。
一部の財産のみを対象にした遺言書を作ることは相続争いの火種になるので止めてください!
そもそも、遺言書は相続争いを作るために準備しようという方が多いです。
争いは起こる可能性はないけれども、自分の思い通りに子どもたちに遺産を分けたいという方ももちろんいらっしゃいます。
ですが、数多くの遺言書作成をお手伝いしてきた私の経験から言えば、後者の割合は3割いかないでしょう。
相続争いを避けるために遺言書を作ろうと思っている高齢者ほど、一部の財産について遺言をしたがります。
その財産だけは!という想いが強くなるからでしょうね。
◯◯の土地、建物は長男に譲る。
とだけ書かれた自筆証書遺言を拝見したことがあります。
遺言者(遺言をした人)は、事業を営んでおり、その事業の本拠地となっているのが、◯◯の土地建物だったんですね。
なので、事業承継の問題も当然考えにあったのでしょう。
事情は不動産だけの問題ではなく、会社の株式の承継も絡んでおり、社長候補が長男だけではないという複雑さ。
その方は結局、公正証書遺言を作り直したのですが、不安に思ったとのことで私に相談頂きました。
これも、相続争いを防ぐために作った遺言が逆に相続争いの火種になるパターンですね。
なぜ、一部の財産のみの遺言がなぜ相続争いの火種になるのかといいますと。
その他の相続財産についてする遺産分割協議で揉める可能性がグンと高くなるから。
そもそも、なぜ遺言書が相続争い防止の効果があるというとですね。
法律的なものもそうですが、
”親父さんが生前そう言ってんだから、オレたちはそのとおりで納得しようや”、という子どもたちの良心?!、善意?、親孝行?、まあとにかく、親父さんの気持ちに応えてここは一つ穏便にすまそうや、
となる効果があるからです。
一部の財産のみについて残された遺言書を前にして子どもたちで遺産分割協議をする子どもの心境はこうです。
全部の財産について「指示」してくれれば、親父さんの言うとおりにするのは全然やぶさかじゃないのに、遺言にない他の財産はどうすりゃいいのさ。オレたちの好きなようにしてくれればいい、っていうつもりだろうけど、好きなようにってことは”欲望丸出し”ってことだから、歯止めになる親父がいない今、こりゃ揉めるぜ。。
揉める原因の一つは子供世代の配偶者の「意見」が入ってくるからというのもあるのですが、ともかく「火種」になることが分かっているのであればそれは避けたほうが良いですね。
一部の財産についての遺言を書きたいお気持ちを反映するような遺言書の書き方も実はあります。
それと、もう一つ。
法律の専門家である公証人がいるので、公証人役場で遺言書を作れば万事OKという高齢者の方がいらっしゃいますが、これ!違いますよ、ホント。
どう違うのかはなかなかインターネット上には書きづらいので、気になる方は直接お電話で。
行政書士阿部総合事務所 行政書士阿部隆昭