遺言をする方が公証人役場に出掛けていき、法律の専門家である公証人のもと作成するのが公正証書遺言。
自分だけで作る「自筆証書遺言」と比較して安全確実であるというのが誰もが一致している評価です。
公証人役場にも同じ内容の遺言書が保管されているので、偽造や隠匿の心配がありません。
遺言をする方が亡くなって始めて効果を発揮する文書だけに、遺言をめぐって争いが多いのは皆さんもよくご存知でしょう。
公正証書遺言を作るには「証人」が二名必要です。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
証人といいますと裁判での証人をイメージする方も多いのですが、実は全く異なります。
事実関係について何かを証言する、といったことはもちろんありません。
単に、遺言書を作成する現場(公証人役場の応接室)に同席し、何も言葉を発せず成り行きを見守るだけの役割です。簡単といえば簡単です。
しかしです。
公正証書遺言の証人になるということはですね。
他人の遺言書に、証人の住所と氏名が書かれてしまう。
実は、証人になれない人は法律で決まっています。
(証人及び立会人の欠格事由)
第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
20歳以上で、遺言をする人と他人であれば原則証人にはなれます。
証人にはなれるので、
「公正証書遺言の証人になってくれない?」と他人から気軽に言われることがあります。
多少の日当を頂ける場合もあるので、簡単に「いいよー、認印持ってくだけでしょ」と応じることもあるのですが、ここで先ほどの注意点です。
証人の住所氏名は、遺言書に載ります。
他人の遺言書にですね、証人として住所氏名が載るのがなんだか気持ちわるいというのであれば、証人を受けないでください。
それでも構いませんという方は、公正証書遺言の証人を依頼されても受けてOK
私も行政書士として何人もの公正証書遺言の証人になっています。同業者から依頼される場合もありますし、行政書士阿部隆昭として遺言書作成を受任する場合には証人の一人として私がなります。
行政書士阿部総合事務所に遺言書作成をご依頼される場合には、証人の手配の心配はありません。遺言をする方が証人になれる人を見つけられない場合には、私が提携している専門家を証人にしますので何も問題はありません。
皆さんが公正証書遺言の証人を頼まれたら、証人の住所氏名のことだけは気にかけておいてくださいね。
これ!、証人自身も最後まで知らないことが普通です。なぜかというと、証人は完成した遺言書を渡されないからです。完成した遺言書の内容を知っているのは、遺言をした方と公証人だけですから。
相続問題解決コンサルタント 行政書士阿部隆昭