おはようございます。
遺言書関連の興味深いニュースがありました。
お隣の韓国では、スマートフォンで動画を撮影することで遺言書になるらしいのです。
「スマホ遺言状」、韓国の高齢資産家の間で人気
専門家に遺言状作成を依頼しようとしたところ、思っていたよりも多くの費用が掛かると聞かされた。男性が悩んだ末に考え付いた方法は「スマートフォン(多機能携帯電話端末)遺言状」だった。男性は「自筆で遺言状を書き、スマートフォンで動画を撮影すれば、法的な効力を有すると見なされるのではないか」と話した。
具体的にどういった方法が執られているのか不明ですが、記事によれば、書面としては自筆で書き残し、その書いている様子や書き上げたものを動画として残すようです。
最近、70-80代の資産家たちの間で、スマートフォンを使用して遺言状の内容を読み上げ、動画を撮影するという方法が流行している。
そもそも、どうして動画で遺言書を作ろうかというと、費用が高いからだそうです。
このニュースで取り上げられている男性は、「最近80歳の誕生日を祝った資産家」。
資産家なのだから、遺言書の作成費用ぐらいどうってことないと思いますよね。
ハナ銀行のパン・ヒョソク顧問弁護士は「遺言状の作成を専門家に依頼すると、最大で300万ウォン(約31万円)の費用が掛かるが、スマートフォン遺言状は費用が掛からず、成人であれば誰でも作成できる。ただし、遺言者の名前や日付、遺言の趣旨など、法律で定められている項目を必ず口述する必要があり、また証人も1人以上いなければならない」
弁護士に遺言書を作ってもらうと30万円!もかかるというだから驚きました。
資産家といえども、躊躇する金額ということなのでしょう。
また、韓国法には5つの遺言書の形式があるようで、「録音遺言状」というは法律的に根拠がある遺言書となりうるようです。
日本には、録音だけでOKといった遺言書の形式はありません。
死亡の危険が迫っている人や耳が聞こえない人などに適用する法律は用意されています。
民法第九百七十六条疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
3 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
4 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
5 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。
遺言状は法律で定められた五つの方式に従って作成すれば効力を有することになるが、「スマートフォン遺言状」はその一つである「録音遺言状」の一種といえる。録音遺言状とは本来、文字を読み書きできない人や障害者、重病患者などが主に用いてきた方法だが、スマートフォンが普及したことで、一般人の間でも遺言状のスタイルとして注目されている。ハナ銀行のパン・ヒョソク顧問弁護士は「遺言状の作成を専門家に依頼すると、最大で300万ウォン(約31万円)の費用が掛かるが、スマートフォン遺言状は費用が掛からず、成人であれば誰でも作成できる。ただし、遺言者の名前や日付、遺言の趣旨など、法律で定められている項目を必ず口述する必要があり、また証人も1人以上いなければならない」と指摘した。
李敬恩(イ・ギョンウン)記者