人間いつ死ぬか分かりません。突然死の八割は原因不明だそうですよ、気を付けたいですよね。
一生に一度も作らないかもしれない遺言書。
このブログをご覧になっている方も、お父さんに遺言書を書いて欲しいと思ってはいても、切りだすのが難しいとか、なんとかなるだろうと思っている方も多いでしょう。
なんとかなるならないは、それぞれのご家庭の事情によって全く異なるのでなんとも言えません。なんとかなればもちろんいいですよね。
ここでは、なんともならなかった事例をお伝えします。
それでは、ある人から聞いた遺言書にまつわる怖い話しをお伝えしましょう。趣旨は伝わるように若干修正を加えます。
核家族を想定してください。お父さんが入院中。お見舞いに行っているのが奥さんと長男。次男は遠く離れて住んでいます。
お父さんと長男さんは小さいながらも会社をやっています。お父さんが社長、ゆくゆくは長男に継がせたいと思っていました。次男は学生時代に家族と揉め事を起こしたことをキッカケに縁遠くなり、今では正月三が日でさえ実家に寄り付きません。
そんな中、お父さんがある日大病で入院することになってしまいました。検査をしてみると、日頃の激務がたたったのか深刻な病状だったのです。急を要すると判断した奥さんが公証人役場に駆け込み、遺言書の作成をお願いしました。
お父さんの所有している土地は、会社が事業を行っている土地建物でもあったのです。将来は長男に会社を継がせたいと思っていたお父さんは、その土地建物も長男に継がせたいと思っています。
ですが。。。
遺言書がなければ、土地建物は、奥さん1/2、長男1/4、次男1/4で相続されてしまいます。奥さんが相続することになる1/2は長男にあげればいいと思っているのでなんとかなるのですが、問題は次男に相続される1/4。
普段から疎遠になっており、今後も関わることがないだろうと思っていた次男が土地建物の所有者に関わってくることになると事業の存続を揺るがす一大事です。
どうしてだかわかりますか?
例えば、その土地建物を担保に銀行から事業資金を借りようとします。申込に行ったことろ、「抵当権」を土地建物に付けたいと言われました。当然ですが、土地建物の一部を所有している次男にも協力してもらう必要があります。が、次男はどこで暮らしているのかも見当がつきませんし、見つかったとしても会社の事業に協力してくれるとも思えません。
いっそのこと、次男には会社の事業に関係する土地建物を渡すことをしないという選択をしました。
公証人との最初の面談の際には、お父さんはまだ元気だったようです。
その一週間後を予定して、遺言書作成の準備をしていたところに公証人に奥さんから電話が掛かってきました。
今すぐに遺言書を作りに来て欲しい、危険な容体なので一刻を争っている。
公証人が慌てて病院に駆けつけると、既にお父さんは息を引き取っていたそうです。
遺言書は、遺言をするという本人の意思表示がないと作ることが出来ません。
公証人がその意思表示を確認しようと思って日程調整をしていたところの突然の訃報だったのです。
まさにタッチの差だったそうです。
遺言書があるかどうかでその家族の運命が左右されるため、諦めきれない奥さんとしては公証人にこう言ったそうです。
主人はまだ生きていますから、先生大丈夫です!、まだ遺言書を作れます!!
お父さんの亡骸を揺すりながら必死に訴える奥さんを見て複雑な心境になったそうです。
もうちょっと早く相談していれば、なんとかなったのにと。
お父さんに遺言書を作って欲しいとはなかなか言えませんよね。
財産を狙っているんじゃないか、とか言われてしまいますから。
そう言って、遺言書を作るのを遅らせたばっかりに上記のような悲劇に巻き込まれないとも限りません。
徒に不安を煽るわけではありませんが、本当にこういったことになる可能性があるのです。しかも、これらのことは近所の話題にもなりにくいので一般の方が知る機会がほとんどありません。地域ささえあい活動を行なっているため高齢者と触れ合う機会は多いですが、身内のトラブルなどは本当のところはあまり話しはされないようです。
18年も経験がありますと、遺言書さえ作っておけば防げたトラブルはとても多いのです。
どうか皆さんにはこういった不幸な目には遭って欲しくはないですね。
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