高齢者を前にしたエンディングノートのセミナーで毎回質問を頂く内容と言えば、
遺言書とエンディングノートとの違い
エンディングノートは遺言書と違って何度も書き換えても良いもの。
むしろ、書くべき事柄に変更がある度にアップデートしたほうが残された家族のためになります。
しかし、これは実は遺言書も同じでして。
”遺言書は一生に一度だけ”といった法律上の制限がありませんので、一人の人が何回作り直しても大丈夫です。
相続させたい財産や相続させたい人を一度決めたとはいえ、そこは人間、心変わりは避けられません。
遺言書もエンディングノートもどちらも共通して言えるのは変更はいくらでも可能だということ。
もう一つ、共通なことがありまして。
遺言書もエンディングノートも、どちらも切羽詰まらないと書かない。
もちろん書かないからダメというわけではなく、人間、そういうものだと実感しています。
遺言書をいつか書こうと思っていて、ついにその機会は訪れず認知症になってしまい遺言を残すことができなくなった方。
エンディングノートを買ってはみたけれど、書かずに保管しているエンディングノートが三冊は自宅にある方。
遺言書もエンディングノートも書いても書かなくても明日困ることがありません。
いや、その明日に万が一のことが起きれば困ることにはなるのですが、大抵の場合、目が覚めれば今日と同じ明日はきます。
このあたりは、例えば、事業者の資金繰りなどと比較すると違いが著しい。
企業の経営者にとっては明日のお金が全て。
確かに今日と同じ明日は来るのですが、支払期日も同時に一日迫ってきます。
遺言書やエンディングノートを書かないと万が一のときに困る事態と同じことは、企業の経営者の場合には万が一ではなく確実に来てしまうのです。
この切羽詰まった感の差が行動の差に現れてしまうわけです。
じゃあ、遺言書はいつ書いたらいいのか?、エンディングノートはいつ作ったらいいのか?
その答えはどの専門家に聴いても答えは同じ。
元気なときにお願いします。
というより他はありません。
私たち専門家としては、「遺言書やエンディングノートを書かないと残された家族が大変なことになりますよ」という恐怖感を与えて書くように促すか、「遺言書やエンディングノートを書くことで老後の不安がなくなり生き生きと過ごすことが出来るようになりますよ」と不安のない未来を描いて差し上げるか。
高齢者ご本人や、高齢者の親を持つお子さんが私たち専門家に相談したとき、必ずこういったコトを言われると思いますが、それは実は本当で、”またうまいこと言って遺言書を作らせようとして”なんて思わず、とりあえず、自分にとって遺言書が必要なのか、エンディングノートが必要なのかを一瞬立ち止まって考えみてくださいね。
もし必要でしたら私がお手伝いします。いや、売り込みとかではなく、遺言書が必要かどうかの判断ぐらいはすぐに出来ますので。
解決支援コンサルタント 行政書士阿部隆昭