コロナ禍が始まる数年前から、創業塾の講師仕事をさせて頂いています。
こんな商品があればいいと思って。
こんなサービスが何故ないんだろうと思って。
そのような理由で、新しい商品やサービスをリリースする目的で創業を目指す方も少なくありません。
もちろんそれはある意味正しいのですが、調べてみるとそれに似た商品やサービスは既にあった、というケースも実は珍しくありません。
といいますか、たいていの場合、同じような商品やサービスが既にあります。
なのですが、創業相談を受けていますと、「全く新しい商品やサービスなのだ」と強調されることが多いのです。
相談の中で創業計画書を拝見するケースも多いのですが、まず創業者方に確認するのが「同じような商品やサービスがあるかどうか、調べました?」という点。
さて、皆さんどのように答えられるかといいますと。
「調べたけれどもなかったです」
「いや、調べてません」
こう答える方が多いですね。
全く調べていません、と言うのはさすがに憚られるのか、前者の方が圧倒的に多いです。
この、「調べたけれど」という、ここが実はとても大切になってきます。
はるか昔、間接的なご支援先の事例ですが。
ご自身の趣味に取り組む中で、こんな商品があればとても便利なのに、という思いで商品開発し、結果的に大失敗された方がいらっしゃいまして。
革命的な商品を思いつき、金型を製作し、試作品製造まで進んだところで競合商品の調査をしたところ、100円均一ショップにほぼ似たような商品が既に陳列されていたとのこと。
仕入れ価格等の関係から参考上代1000円程度での売り出しを考えていたため、仮にこのまま進めたとしても明らかに負け戦が見えていたので”戦わずして撤退”を決めました。
残されたものは、商品開発費用等で1500万円程度の借り入れ金。
後々調べたところ、商品開発に着手した時点でその競合商品は販売されていたとのこと。
確かに、競合商品やサービスを調べるのは怖いですよね。
大抵の場合、先発の商品・サービスは存在しているので、
”いいアイデアだと思ったのに、これもダメかあ”
ということの繰り返しになります。
それでも尚、その状況で開発等を進めたところで上記事例のようになる可能性が高い。
思いついたアイデアは既に先発がおり、そのうえで違いをどのように打ち出すか、といった視点で考える方がメンタル的にも健康に過ごせます。
行政書士阿部隆昭