今しがた、ある経営者と面談しました。
事業経験豊富で、現場実務にも精通されていらっしゃり、有意義かつ楽しい時間となりました。
その方が営む会社は、経営理念が商号として現れています。
弊所でも会社法人設立業務を行なっていますので、新設法人の商号選定の機会に触れることが多いです。
特に理由なく、または語呂合わせ、略称などさまざまな理由で商号を決めています。
もちろん、当社のように経営理念をベースに決める方も少なくないです。
話は少し変わりますが、創業スクールなどでセミナー講師として登壇する際に、
会社の商号はどうやって決めればいいですか?
経営理念はどうやって作ればいいですか
を質問されることはとても多いです。
その経営者さんと面談した後に、なるほどそうか!と分かりました。
経営理念とは、「他者への共感発生装置」なのだ、と。
経営していると、何らかの他者の協力なしにはうまくいかないことが多いです。
取引先、お得意様、協業先など、完全に一人で事業運営、というわけにはいかないですよね。
量質共に、当社理念を理解してくれる強力な協力者の存在が安定的な事業運営を可能にすると言っても言い過ぎではないでしょう。
弊所も開業9年目に入りますが、支援してくれる方々の存在なしには現在は語れません。
経営理念が、他者への共感発生装置、だとすると、経営理念は共感を生み出す必要がありますよね。
共感、とは何でしょうか?
共感とは,他人の気持ちや感じ方に自分を同調させる資質や力を意味する。すなわち,他人の感情や経験を,あたかも自分自身のこととして考え感じ理解し,それと同調したり共有したりするということである。その結果,ヒトは他人のことをより深く理解することができる。
https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E6%84%9F-477908
上記の説明にもある通り、どうしても相手方の心を揺さぶる必要がありますよね。
揺さぶったからこそ、「共」に「感」じ合うわけで。
先ほど、安定的な事業運営をするためには他者の協力が不可欠と書きました。
他者の心を揺さぶる経営理念を文字として定めることで、他者の協力を得ることができます。
もちろん、誰がどの要素で共感を生むかは、それぞれですよね。
とはいえ、例えば一つの視点として、社会課題を解決する事業であれば割と広範に共感を生むことができますし、そうではなくとも個人的な趣味の範囲で”ここがこうだったらいいなあ”と常に思っていた問題を解消する事業でも共感を生むことが可能。
経営理念がなくとも共感を生むことはもちろん可能です。
ですが、早いですよね、相手に伝わるのが。
経営理念を端的な文章として作り上げることは、なかなかに難儀な作業ではありますが、創業者の方はぜひこの点を意識して作ってみてください。
行政書士阿部隆昭