タイトルからして、この本を読もうと思うのは現実に何か悩み事を抱えている方だと思います。
悩みといっても、特定の悩み事であれば、その専門書を読んだりするのでしょう。
例えば、男女関係で悩んでいるのなら、『男女関係の悩みを解決する本』といったように。
今回手に入れたのは、
『悩みのコントロール術』東山紘久著
漠然とした悩みを常に抱えている方であったり、考えこんでしまいがちな人に向けた本なのかなと思います。
いい本ですよ。
その中の一節。
悩んでいる人は、「どうすればいいのですか」とカウンセラーにしばしば聞きます。
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しかし、多くの人からは、
「それは分かっているのですが・・」と、
「それは知識としては分かっています」という返事が返ってきます。
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「どうしたらいいですか」と聞かれたときは、カウンセラーは、通常「いま、何ができますか」と、当人ができることが何かを尋ねます。
どのような立派な助言でも当人ができないような助言は効果がありません。
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悩んでいる人に、できないことを要求するのは、その人の無力さを指摘することになります。
当人は、いっそう落胆するか、助言した人の無理解さに腹を立てるかのどちらかになるのです。
私たち専門職の仕事も似ています。
お客様は、
「どうしたらいいですか」
という気持ちで相談に訪れます。
よく話しを聴いてみると、お客様が認識している問題は、実は問題ではなく、先に解決すべき問題あることもしばしば。
カウンセラーと違い、私たちの場合には、
「いまなにができますか?」
という返答をすることはありません。
それはカウンセラーが解決する悩みは漠然とした悩みで、
私たち専門職が解決する悩みは個別具体的な悩みであることの違いからくるものです。
「どうしたらいいですか」
と私たちが聞かれたとき。
専門職の知識をフル動員した後に、
「◯◯か△△の方法があります」
「先にすべきは、この状況からいって◯◯です」
といったように、個別具体的な悩みには、具体的な解決策を提示することが求められます。
専門職に相談をすると「相談料」がかかります。
それはカウンセラーも専門職も同じ。
私は聞かれたことはありませんが、おそらくこういった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
なぜ、相談しただけでお金を請求するの?
30分5000円とか高すぎない?!
カウンセラーの相談室から出るときには、
誰かに話しを聴いてもらったことで気持ちがスッキリするでしょうし、自分を肯定してくれたことに対する満足感もあるでしょう。
専門職に相談した後には、
八方塞がりだと思っていた問題でも、実は道が開けていて、そこを歩けばなんとかなるかもしれないという安心感を得られた。
ずっとずっと欲しかったバッグを買えば、家に持ち帰り愛でることが出来る。
これは満足感がありますよね。
大切なお金が目に見えるモノとして変わったのですから。
ずっとずっと悩んでいた悩みが解決した。明るい気持ちで家で過ごすことが出来た。
バッグのように目には見えませんが、確かに持ち帰っているわけです。
それは、モノではなく、安心感。
バッグと違って目に見えることはありませんし、
バッグのようにずっとそこにあるわけもありません。
それこそ、不安で不安で仕方なかった状況さえも、相談したことさえ忘れてしまうことでしょう。
しかし、一度は「安心感」を持ち帰ったはずです。
目に見えているか、見えていないかの違いだけで、本人としてはどちらも対価を得ているわけです。
私たちは、ほとんどのものをお金という価値と交換しながら生活をしています。
バッグでも、安心感でも対価を得たことには全く変わりがないのです。
唯一の違いは目に見えているどうかだけ。
対価を得た以上、相談料は支払うべきなのだと思っています。
行政書士阿部総合事務所
行政書士阿部隆昭